管理業務主任者試験 令和3年試験 問31

問31

甲マンションにおいて、理事会に出席できない理事の取扱い等に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も適切なものはどれか。なお、甲マンションの管理規約は、標準管理規約(単棟型)と同一の定めがあるものとし、そのコメントに基づく別段の定めはないものとする。
  1. 外国に出張中で理事会に出席できない理事がいたが、議長(理事長)一任の委任状の提出を求めた。
  2. 議題が「長期修繕計画の変更案について」と既に決まっていたため、理事会に出席できない理事には議決権行使書の提出を求めた。
  3. 専有部分の改良工事の申請について、理事会に出席できない理事がいたため、電磁的方法による決議をしようとしたとき、監事は電磁的方法について反対したが、理事の過半数の承諾があったので、当該申請について電磁的方法により理事会で決議した。
  4. 病気で入院中の理事がいたので、その理事に代わって、その理事の配偶者に、理事会への出席と決議への参加を求めた。

正解 3

解説

  1. 不適切。理事はその資質・能力を認められて役職に就いているため、理事会には本人が出席するのが原則です。このため、規約において認める旨の明文の規定がない場合に、理事の代理出席を認めることは適当ではないとされています(標管[単]コ53条①②)。
    ① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
    ② したがって、理事の代理出席(議決権の代理行使を含む。以下同じ。)を、規約において認める旨の明文の規定がない場合に認めることは適当でない。
  2. 不適切。理事がやむを得ず理事会に出席できない場合は、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにする運用も可能です。ただしこれには「出席できない理事には書面による表決を認める」旨の規約の定めが必要です。本問では別段の定めがない状況なので、議決権行使書の提出で代えることは認められません(標管[単]コ53条④)。
    理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
  3. [適切]。理事会の決議事項のうち、①専有部分の修繕、②敷地及び共用部分等の保存行為、③窓ガラス等の改良工事 の3つの申請に関する承認・不承認については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議ができます(標管[単]53条2項標管[単]54条1項5号)。監事による拒否権は特にないため、理事の過半数が承諾すれば電磁的方法による決議が可能です。
    次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
    理事会は、この規約に別に定めるもののほか、次の各号に掲げる事項を決議する。
    ・・・
    五 第17条、第21条及び第22条に定める承認又は不承認
  4. 不適切。理事会には理事本人が出席することが原則ですが、理事に事故があり、理事会に出席できない場合には、規約で定めることで、配偶者や一親等親族に代理出席を認める運用も可能です。本問では別段の定めがない状況なので、配偶者の代理出席は認められません(標管[単]コ53条④)。
    理事がやむを得ず欠席する場合には、代理出席によるのではなく、事前に議決権行使書又は意見を記載した書面を出せるようにすることが考えられる。これを認める場合には、理事会に出席できない理事が、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決することを認める旨を、規約の明文の規定で定めることが必要である。
したがって適切な記述は[3]です。