管理業務主任者試験 令和3年試験 問32

問32

共用部分及びその持分等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 区分所有者が数個の専有部分を所有する場合の各敷地利用権の割合は、共用部分の持分の割合と同一であり、規約で別段の定めをすることができない。
  2. 共用部分の管理に関する事項であっても、それが専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
  3. 共用部分の持分の割合と管理費等の負担割合は、一致しないこともある。
  4. 共用部分の共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して共用部分の持分を処分することができない。

正解 1

解説

  1. [不適切]。規約で別段の定めをすることが可能です。
    1人の区分所有者が複数の専有部分を所有している場合、それぞれの専有部分に対応する敷地利用権の割合は、規約で別段の定めのない限り、その専有部分の床面積の割合によります(区22条2項)。
    前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
  2. 適切。共用部分の変更が専有部分の使用に特別な影響を及ぼす場合には、その専有部分の所有者の承諾が必要です(区17条2項)。例えば、共用廊下に新たな設備を設置することで特定の専有部分への採光・通風・出入りに影響を与えるようなケースが想定されます。
    前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。
  3. 適切。管理費等は、規約に別段の定めがない限り、各共有者が共用部分の持分に応じて負担するとされています(区19条)。共用部分の持分割合によるのが原則ですが、規約で別段の定めをすることができます。
    各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
  4. 適切。専有部分とその共用部分の持分は法律上一体不可分の権利であり、原則として分離処分は認められません(区15条2項)。例外的に分離処分が認められるのは、①管理所有者を設ける場合(11条2項)、②共用部分の持分割合を規約で変更する場合(14条4項)です。
    共有者は、この法律に別段の定めがある場合を除いて、その有する専有部分と分離して持分を処分することができない。
したがって不適切な記述は[1]です。