管理業務主任者試験 令和7年試験 問3

問3

1から4までのうち、Aと建設会社Bとの間で建物甲の建築工事の請負契約が締結された場合に関し、民法の規定によれば、適切な記述のみを全て含むものはどれか。
  1. Bは、甲が完成しない間は、Aに損害を賠償して当該契約を解除することができる。
  2. 建築中の甲の所有権の帰属は、原則として、材料の所有者によって定まる。
  3. 落雷による森林火災が原因で建築中の甲が焼失し、完成が不能となってしまった場合には、Aは、Bの報酬請求を拒むことができる。
  1. ア・イ
  2. イ・ウ
  3. ア・イ・ウ

正解 3

問題難易度
肢120.2%
肢29.4%
肢354.1%
肢416.3%

解説

  1. 不適切。請負契約の注文者は、仕事が完成するまでの間であれば、損害を賠償して契約を解除できます。この解除権を有するのは注文者のみです(民641条)。Bは請負人であるため、Aに債務不履行等がない限り、損害を賠償しても契約解除することはできません。
    請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
  2. 適切。建設中の建物の所有権は、材料の全部又は主要な部分(材料等)の所有者が請負人である場合には請負人に、材料等の所有者が注文者である場合には注文者に帰属するとされています(大判明37.6.22大判昭7.5.9)。
    【補足】
    注文者が材料を提供した場合であっても、民法246条の「加工」の規定を形式的に適用すれば、請負人が建物の所有権を取得するとも考えられます。しかし、判例はこの場面においては加工の規定の適用を否定しています。
    請負人が自己の材料を持って他人の土地に建物その他の工作物を設ける請負をした場合は、目的物を請負人により注文者に引き渡すことにより、所有者が注文者に移転すべきことは、民法637条(※改正前)の規定によっても明らかである。
    注文者が建築材料の主要部分を供給した場合は、特約のない限り、建物の所有権は原始的に注文者に帰属する。
  3. 適切。請負契約のような双務契約において、当事者の帰責事由なく履行不能となってしまった場合には、不能となった債務の債権者は、反対給付の履行を拒むことができます(民536条)。本件では、火災により建築物の完成するという債務が不能となっています。このため、その債務の債権者であるAは、反対給付である報酬の支払を拒めます。
    当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
したがって適切なものは「イ・ウ」です。