管理業務主任者試験 令和7年試験 問2
問2
委任契約と寄託契約との異同に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
- 委任契約は当事者間の合意のみで成立する諾成契約であるが、寄託契約は寄託物の引渡しを伴う要物契約である。
- 受任者も受寄者も、契約の相手方の許諾(承諾)を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、第三者に当該契約を履行させることはできない。
- 委任契約も寄託契約も、当該契約が有償か否かによって、受任者や受寄者の注意義務の程度が異なる。
- 委任者も寄託者も、やむを得ない事情の有無や書面による契約か否かにかかわらず、相手方の損害を賠償すれば当該契約をいつでも解除することができる。
正解 2
問題難易度
肢119.8%
肢259.3%
肢37.2%
肢413.7%
肢259.3%
肢37.2%
肢413.7%
分野
科目:1 - 民法細目:4 - 契約
解説
- 不適切。委任契約・寄託契約ともに、当事者間の合意のみで成立する諾成契約です(民643条・民657条)。旧民法では寄託は要物契約とされていましたが、2020年に改正されています。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
寄託は、当事者の一方がある物を保管することを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
- [適切]。委任では、①委任者の許諾を得たとき、又は②やむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができません(民644条の2第1項)。寄託についても同様の規定があり、❶寄託者の承諾を得たとき、又は❷やむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることはできません(民658条2項)。
受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
- 不適切。委任の受任者は、有償・無償を問わず、委任事務の処理について善管注意義務を負います(民644条)。これに対し、寄託の受寄者は、有償であれば善管注意義務を負いますが、無償であれば自己の財産と同一の注意をもって保管すれば足ります(民659条)。このように、報酬の有無によって注意義務の程度に違いが生じるのは、寄託契約に限られます。
受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
無報酬の受寄者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
- 不適切。委任は、当事者双方がいつでも契約を解除できます。この際、損害賠償責任が生じるのは次の2つの状況に限られます。また、やむを得ない事由があったときは免責されます(民651条)。
- 相手方に不利な時期に委任を解除したとき
- 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき
まとめると、委任ではやむを得ない事情があれば損害賠償の負担なく解除できる点と、寄託の寄託者が契約を解除できるのは物の引渡しまでに限られる点の2つが間違いのため、本肢は誤りです。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。寄託者は、受寄者が寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、受寄者は、その契約の解除によって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
2 無報酬の受寄者は、寄託物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による寄託については、この限りでない。
3 受寄者(無報酬で寄託を受けた場合にあっては、書面による寄託の受寄者に限る。)は、寄託物を受け取るべき時期を経過したにもかかわらず、寄託者が寄託物を引き渡さない場合において、相当の期間を定めてその引渡しの催告をし、その期間内に引渡しがないときは、契約の解除をすることができる。