管理業務主任者試験 令和6年試験 問26

問26

1棟の区分所有建物が、災害により、その価格の2分の1を超える部分が滅失した場合に関する次の記述のうち、区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。ただし、本問において「復旧決議」とは、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をいう。
  1. 区分所有者は、集会において、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、復旧決議をすることができる。
  2. 復旧決議又は建替え決議がされる前に、自己の専有部分とともに滅失した共用部分を復旧した区分所有者は、他の区分所有者に対し、共用部分の持分に応じた割合で、当該共用部分の復旧に要した金額の償還を請求することができる。
  3. 復旧決議の後に買取指定者が指定された場合、書面でその旨の通知を受けた区分所有者は、当該買取指定者に対してのみ、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  4. 建物の滅失の日から6月以内に復旧決議又は建替え決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

正解 2

解説

  1. 適切。建物の2分の1を超える部分が滅失した場合(以下、大規模滅失という)、集会において区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができます(区61条5項)。
    第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。
  2. [不適切]。本肢のような費用償還が認められるのは、2分の1以下の滅失の場合に限られます。本件は2分の1を超える滅失なので、他の区分所有者に対し費用償還を求めることはできません(区61条1項・2項)。
    建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
    2 前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。
  3. 適切。大規模滅失の復旧決議が可決された場合、その決議に賛成しなかった者は、決議から2週間経過後に決議賛成者に対し区分所有権の買取りを請求することができます。この2週間の間に買取指定者が指定され、買取指定者がその旨を決議賛成者以外の者に対して書面又は電磁的方法で通知したときは、買取り請求は買取指定者に対してのみ行うことができます(区61条8項)。
    第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
  4. 適切。大規模滅失があった場合において、その滅失の日から6か月以内に復旧決議又は建替え決議がされなかったときは、各区分所有者は、他の区分所有者に区分所有権の買取りを請求することができます(区61条14項)。
    第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内に同項、次条第一項又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
したがって不適切な記述は[2]です。