管理業務主任者試験 令和6年試験 問25

問25

区分所有者が、その所有する住戸を賃貸している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、不適切なものの組合せはどれか。
  1. 賃貸借契約において、管理費の支払は賃借人が行う旨の合意があった場合でも、賃貸人である区分所有者が管理費の支払義務を負う。
  2. 賃借人は、建物の使用方法に関して、区分所有者が集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うものではない。
  3. 賃借人は、住戸の設置又は保存に瑕疵(かし)があることによって、他人に損害が発生した場合には、その賃借人の免責事由の有無にかかわらず、損害賠償責任を負う。
  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. イ・ウ
  4. ア・イ・ウ

正解 3

解説

  1. 適切。区分所有者が賃貸借契約により管理費の支払を賃借人に転嫁していたとしても、管理費を管理組合に支払う義務はあくまでも区分所有者にあります。管理費は共用部分の管理に要する費用であり、その費用負担義務は共用部分の共有者である区分所有者にあるためです(区19条)。
    各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
  2. 不適切。専有部分の賃借人などの占有者は、建物や敷地・附属施設の使用方法について、区分所有者が規約や集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負います。(区46条2項)。
    占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。
  3. 不適切。専有部分の瑕疵による損害賠償責任については、民法の工作物責任が適用されます。建物などの設置や保存に瑕疵があって他人に損害を与えた場合、一次的にはその占有者が責任を負うことを定めています。ただし、占有者に過失がないときは二次的に所有者が責任を負うとされており、賃借人が無条件で損害賠償責任を負うわけではありません。つまり、賃借人が免責事由(過失がないなど)を立証した場合は、損害賠償責任を免れます(民717条1項)。
    土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
したがって不適切なものの組合せは「イ・ウ」です。