管理業務主任者試験 令和6年試験 問2

問2

マンションに関する次の記述のうち、民法、区分所有法及び判例によれば、最も適切なものはどれか。
  1. 区分所有者は、区分所有権を取得した旨の届出を管理組合に提出すれば、登記の有無にかかわらず、第三者にその区分所有権を対抗することができる。
  2. マンションに居住する区分所有者が管理費を滞納したまま区分所有権を譲渡した場合、管理組合は、当該前区分所有者が転出に際して届け出た転居場所に滞納管理費の支払を催告すれば、その到達の有無にかかわらず、有効な請求となる。
  3. マンションの敷地上の駐車場を賃借している区分所有者が、管理組合に無断で当該駐車場を外部の第三者に転貸して収入を得ているときは、管理組合は、当該賃貸借契約を解除することができる。
  4. 区分所有法第3条によって組織される区分所有者の団体は、同法第25条に基づく管理者を選任さえしていれば、当該団体として契約の当事者となることができる。

正解 3

解説

  1. 不適切。マンションの区分所有権も一般の不動産物権と同様に、対抗要件は登記です(民177条)。届出は管理組合内部の手続に過ぎず、それをもって第三者に対して権利変動を主張する効力はありません。
    不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
  2. 不適切。催告などの債務履行請求などの意思表示は、原則として相手方に到達した時から効力を生じます(民97条1項)。到達しなければ債務者は催告を受けたことにならず、請求の効力も発生しません。通常は到達を証明するために「配達証明付き内容証明郵便」が用いられます。
    意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
  3. [適切]。賃借人が賃貸人の承諾なく転貸した場合、賃貸人は賃貸借契約を解除することができます(民612条2項)。管理組合は共用部分の持分を有する区分所有者の集まりですから、管理組合は貸主として賃貸借契約を解除することができます。
    賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
  4. 不適切。管理組合(3条団体)は法人格を持たないため、契約当事者となることはできません。契約の主体となるには、管理組合法人として法人格を取得する必要があります。3条団体が契約行為をする場合には、管理組合の代表者の名で行います。
したがって適切な記述は[3]です。