管理業務主任者試験 令和5年試験 問39

問39

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 管理組合は、管理費が滞納されている場合、管理規約に遅延損害金の定めがないときでも、遅延損害金を請求することができる。
  2. 賃借人が賃貸借契約により管理費を管理組合に支払っていた場合でも、当該賃借人が管理費の支払いを滞納したときは、当該管理組合は、賃貸人である区分所有者に滞納管理費を請求することができる。
  3. 専有部分の売買契約によって、滞納されていた管理費の支払義務は区分所有権を取得した買主に承継されるが、売主自身の支払義務が消滅するわけではない。
  4. 競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。

正解 4

問題難易度
肢12.9%
肢27.1%
肢35.3%
肢484.7%

解説

  1. 適切。金銭の支払債務について不履行があった場合、法定利率と約定利率の高いほうで算定した損害賠償額を請求することができます(民419条1項)。遅延損害金の定めがないときでも、民法の規定に基づいて、法定利率による遅延損害金を請求することが可能です。
    金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  2. 適切。区分所有建物の占有者は、建物・敷地・附属施設の使用方法については、規約や集会決議に従う必要がありますが、管理費の支払義務までは負いません。仮に約定により賃借人が管理費を支払っていたとしても、あくまでも法律上の支払義務は区分所有者にあります(区19条)。したがって、管理組合は、賃貸人である区分所有者に対し、滞納管理費を請求することができます。
    各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
  3. 適切。管理費その他の区分所有者が他の区分所有者に対して有する債権は、債務者である区分所有者の特定承継人に対して行うことができます(区8条)。
    条文から分かるように、本来の債務者たる当該区分所有者に加えて、特定承継人に対して重畳的な債務引受人としての義務を法定したものであり、前所有者の支払債務が新所有者に移転するわけではありません。両者の債務は併存し、いわゆる不真正連帯債務の関係になります(東京高判17.3.30)。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
    債務者たる当該区分所有者の債務とその特定承継人の債務とは不真正連帯債務の関係にあるものと解される
  4. [不適切]。区分所有法では、滞納管理費等の債権は「特定承継人」に対しても請求できるとされています(区8条)。特定承継人とは、売買・贈与・競売などによって特定の財産を引き継いだ人を指します。競売の買受人も特定承継人に含まれるため、滞納管理費の支払義務は買受人に承継されます。
したがって不適切な記述は[4]です。