管理業務主任者試験 令和4年試験 問11

問11

管理費の滞納に対する法的手続等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 管理費を滞納している区分所有者が、不可抗力により、管理費を支払うことができないときは、債務不履行に係る遅延損害金の賠償については、不可抗力をもって抗弁とすることができる。
  2. 管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は、売主の滞納管理費債務を承継するが、当該債務に係る遅延損害金の債務は承継しない。
  3. 管理組合は、管理費を滞納している区分所有者に対する訴訟の目的の価額が140万円を超えない場合は、簡易裁判所に訴えを提起することができる。
  4. 管理組合が、管理費を滞納している区分所有者に対し、滞納管理費の支払を普通郵便により催告しても、時効の完成猶予の効力は生じない。

正解 3

問題難易度
肢18.6%
肢27.4%
肢373.5%
肢410.5%

解説

  1. 不適切。金銭債務については、やむを得ない事由などの不可抗力をもって不履行の抗弁とすることができません(民419条3項)。金銭はいつでも(手元なくても利息を支払えば)容易に入手することができるためです。したがって、遅延損害金の支払義務について、不可抗力であったことを理由に支払いを免れることはできません。
    第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
  2. 不適切。管理費その他の区分所有者が他の区分所有者に対して有する債権は、債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます(区8条)。特定承継人の典型例は買主です。特定承継人である買主は、滞納管理費債務だけでなく、遅延損害金の債務も承継します。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  3. [適切]。訴えを提起できる裁判所は、訴訟物の内容や金額により決まっています。金銭支払いの請求の場合、訴額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円超であれば地方裁判所が提起先となります(裁33条1項1号)。
    簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
    一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
  4. 不適切。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(民150条1項)。催告の方式について特段の定めはないため、普通郵便や口頭であっても完成猶予の効力は生じます。実務上で内容証明郵便が用いられることが多いのは、法的証拠を確実に残すためです。
    催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
したがって適切な記述は[3]です。