管理業務主任者試験 令和4年試験 問9
問9
管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法及び民事訴訟法によれば、最も適切なものはどれか。
- 管理組合が、管理費の滞納者に対し、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求した後、その時から6箇月を経過するまでの間に、再度、滞納管理費の支払を内容証明郵便で請求すれば、あらためて時効の完成猶予の効力が生じる。
- 管理費を滞納している区分所有者が死亡した場合、遺産分割によって当該マンションを相続した相続人が滞納債務を承継し、他の相続人は滞納債務を承継しない。
- 管理費の滞納者が、滞納額25万円の一部であることを明示し、管理組合に対し5万円を支払った場合には、残りの20万円については、時効の更新の効力を有する。
- 管理費の滞納者が行方不明になった場合には、管理組合は、当該滞納者に対し、滞納管理費の支払についての訴えを提起することができない。
正解 3
問題難易度
肢13.0%
肢212.1%
肢383.1%
肢41.8%
肢212.1%
肢383.1%
肢41.8%
分野
科目:5 - 管理実務細目:1 - 滞納対策
解説
- 不適切。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません。ただし、催告による時効の完成猶予期間中に再度の催告を行っても、完成猶予の期間を延長することはできません(民150条)。つまり、最初に催告を行ってから6か月が経過すると、その催告による完成猶予の効力はなくなります。そのため、完成猶予の状態を維持したい場合には、裁判上の請求を行うなど、次の手続に進む必要があります。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。 - 不適切。被相続人が死亡時に有していた債権・債務は、相続開始の時にその相続分に応じて各共同相続人に承継されます(民896条・民899条)。この際、可分債務である管理費支払債務は、遺産分割を待たずに法律上当然に分割され、各共同相続人がその法定相続分に応じて承継します(大決昭5.12.4)。マンションの遺産分割協議が成立しても、管理費債務の帰属は変わりません。
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきである。
- [適切]。時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を開始します(民152条1項)。本件では、管理費の滞納者が滞納額25万円の一部であることを明示したうえで5万円を支払っており、このような一部弁済は債務の存在を認める行為として「権利の承認」に該当します(大判大8.12.26)。
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
債務の一部弁済は債務の承認を表白するものである。
- 不適切。債務者が行方不明の場合でも、「公示送達」の方法によって訴えを提起することが可能です。公示送達とは、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、「いつでも受け取ることができる」旨を裁判所の掲示場に掲示することで、通常の送達に代える方法です(民訴111条)。
通常、訴えを提起する際には、訴状に被告の住所を記載する必要があります。ただし、住所等が不明の場合には「住居所 不明」と記載し、公示送達の手続きで進めることが可能です(民訴110条1項)。公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合