管理業務主任者試験 令和4年試験 問4

問4

甲土地を所有するAが、B銀行から融資を受けるに当たり、甲土地にBのために抵当権を設定した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。ただし、甲土地には、Bの抵当権以外の担保権は設定されていないものとする。
  1. 抵当権設定当時、甲土地上にA所有の建物があった場合には、当該抵当権の効力は当該建物にも及ぶ。
  2. 抵当権設定当時、甲土地が更地であった場合、当該抵当権の実行手続により買い受けたCから甲土地の明渡しが求められたときには、Aは、その請求に応じなければならない。
  3. 抵当権の設定行為において別段の合意がない限り、被担保債権の利息は当該抵当権によって担保されない。
  4. Bの抵当権は、Aに対しては、被担保債権が存在していても、時効によって消滅する。

正解 2

解説

  1. 不適切。抵当権は、抵当不動産の従たるもの(例:建物に対する借地権、土地の付合物)にも及びます。しかし、土地と建物は別個の不動産なので、土地の抵当権は建物には及びません(民370条)。
    抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。
  2. [適切]。抵当権が実行されると、抵当不動産は競売にかけられその所有権は買受人に移転します。抵当権設定当時、更地だった場合には法定地上権は成立しないため、債務者Aは抵当不動産Cを買受人に甲土地を明け渡す必要があります。
  3. 不適切。被担保債権の利息は、満期となった最後の2年分が抵当権によって担保されます(民375条1項)。したがって「担保されない」が誤りです。
    抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
  4. 不適切。抵当権自体は 債務者に対しては、被担保債権と同時にしか時効消滅しません。抵当権だけ単独で時効消滅することは原則ありません(民396条)。
    抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
したがって適切な記述は[2]です。