管理業務主任者試験 令和4年試験 問3

問3

マンションの管理組合Aが、施工会社Bとの間で締結したリフォーム工事の請負契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、適切なものはいくつあるか。
  1. Aは、Bとの別段の合意がない限り、Bに対し、仕事に着手した時に報酬の全額を支払わなければならない。
  2. Aは、仕事が完成した後でも、Bに生じた損害を賠償して請負契約を解除することができる。
  3. Bの行ったリフォーム工事に契約不適合がある場合、Aは、その不適合を知った時から1年以内にその旨をBに対して通知しなければ、履行の追完の請求をすることができない。
  4. 請負契約が仕事の完成前に解除された場合であっても、Bが既にしたリフォーム工事によってAが利益を受けるときは、Bは、Aが受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
  1. 一つ
  2. 二つ
  3. 三つ
  4. 四つ

正解 2

解説

  1. 不適切。請負の報酬請求権は、仕事の目的物の引渡し(物の引渡しがないときは仕事の完成)と同時に発生します(民633条民624条1項)。別段の特約がなければ着手金や前払いの義務はなく、Aが着手時に全額を払う必要はありません。
    報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
    労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
  2. 不適切。注文者は、仕事が完成するまでの間であれば、損害を賠償して請負契約をいつでも解除することができます(民641条)。完成後は契約目的が達成されているため、損害を賠償しても解除できません。
    請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができる。
  3. 適切。請負人の契約不適合責任を追及するには、売買契約と同様に、注文者が不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知する必要があります(民637条)。この期間内に通知しなければ追完請求等の権利を失います。
    前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
  4. 適切。請負では、①仕事の完成ができなくなったとき、②仕事の完成前に解除となった場合において、請負人が行った仕事のうち可分の部分によって注文者が利益を受けるときは、請負人は当該利益部分について報酬を請求することができます(民634条)。なお、注文者の帰責事由で完成できなくなったときは、全額の請求が可能です。
    次に掲げる場合において、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなす。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができる。
    一 注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったとき。
    二 請負が仕事の完成前に解除されたとき。
したがって適切なものは「二つ」です。