管理業務主任者試験 令和4年試験 問2

問2

時効に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 消滅時効が完成し、時効が援用されて権利が消滅すると、その権利は最初からなかったものとされる。
  2. 時効の利益は、時効完成後には放棄することができない。
  3. 債権者が、債務者に対して金銭の支払を求めて訴えを提起した場合に、確定判決によって権利が確定したときは、時効が更新される。
  4. 地上権や地役権についても、時効による権利の取得が認められる。

正解 2

解説

  1. 適切。時効の効力は、その起算日にさかのぼって生じます(民144条)。取得時効では当初から取得していたものとみなされ、消滅時効では当初から債権がなかったものとみなされます。
    時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
  2. [不適切]。時効完成後は放棄できます。時効の利益は、あらかじめ放棄することができません(民146条)。この反対解釈から、時効が完成した後であれば、その利益を放棄することは可能と解されています。
    時効の利益は、あらかじめ放棄することができない。
  3. 適切。裁判上の請求を行うと、その裁判が終了するまで時効は完成猶予されます。その後確定判決で権利が確定すると、時効は更新され、判決確定時から新たに10年の時効が進行します(民147条2項)。
    前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。
  4. 適切。所有権以外の財産権にも取得時効が認められています。したがって、地上権、地役権、賃借権なども取得時効の対象となります(民163条)。
    所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
したがって不適切な記述は[2]です。