管理業務主任者試験 令和4年試験 問1

問1

委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、最も適切なものはどれか。
  1. 受任者は、委任が終了した後に、遅滞なくその経過及び結果を報告すればよく、委任者の請求があっても委任事務の処理の状況を報告する義務はない。
  2. 受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
  3. 委任者は、受任者に不利な時期には、委任契約を解除することができない。
  4. 受任者が報酬を受けるべき場合、履行の中途で委任が終了したときには、受任者は、委任者に対し、既にした履行の割合に応じた報酬についても請求することはできない。

正解 2

解説

  1. 不適切。受任者の報告義務には2つの段階があります(民645条)。
    1. 委任事務処理中は請求に応じて随時報告
    2. 終了後は遅滞なく経過と結果を報告
    本肢は❶を否定しているため誤りです。
    受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過及び結果を報告しなければならない。
  2. [適切]。委任は原則として無償契約です(民648条1項)。受任者の報酬請求権は特約で有償とされた場合に限られます。ただし、受任者が商人の場合には、商法が適用され特約がなくても報酬の請求が可能です。
    受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
  3. 不適切。委任は各当事者がいつでも解除できます。ただし、①相手方に不利な時期の解除、②受任者の利益(報酬以外)を目的とする委任を解除する際は、損害賠償義務があります。受任者に不利な時期であっても、損害を賠償することにより解除自体は可能です(民651条)。
    委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
    2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
    一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
    二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
  4. 不適切。委任が履行の中途で終了したとき、履行できなくなったときには、受任者はすでにした履行の割合に応じて報酬を請求することができます(民648条3項)。なお、委任者の帰責事由で履行不能となった場合には全額の請求が可能です。
    受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
    一 委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
    二 委任が履行の中途で終了したとき。
したがって適切な記述は[2]です。