管理業務主任者試験 令和3年試験 問10

問10

管理費の滞納が生じたときにとられる通常の民事訴訟によらない法的手段に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 「内容証明郵便による督促」の場合は、簡便な手続であるが、消滅時効の完成猶予をさせる催告としての効力は生じない。
  2. 「支払督促」による場合は、簡易裁判所に申し立てることにより書記官が支払を命ずる簡略な手続であるが、債務者から異議申立てがなされると通常の訴訟に移行してしまう。
  3. 「調停」による場合は、弁護士等の専門家に依頼することはできないが、手続が訴訟に比べ簡明であり、調停委員の意見には強制力があることから、紛争が早期に解決される。
  4. 「少額訴訟」による場合は、通常訴訟に比べ、少ない経済的負担で迅速かつ効果的に解決することができるが、訴訟の目的の価額が60万円以下に制限されるため、滞納額が60万円を超えるときは、制限額以下に分割したとしてもこの手続を利用できない。

正解 2

問題難易度
肢16.6%
肢268.4%
肢315.1%
肢49.9%

解説

  1. 不適切。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(民150条1項)。催告の方式について特段の定めはないため、内容証明郵便はもちろんのこと、普通郵便や口頭であっても完成猶予の効力は生じます。実務上で内容証明郵便が用いられることが多いのは、法的証拠を確実に残すためです。
    催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
    管理組合が、管理費を滞納している区分所有者に対し書面で支払の催告を行う場合には、内容証明郵便でなく普通郵便であっても、時効の完成猶予としての効力が生じる。R7-40-2
    管理組合が、管理費を滞納している区分所有者に対し、滞納管理費の支払を普通郵便により催告しても、時効の完成猶予の効力は生じない。R4-11-4
    管理組合が管理費を滞納している区分所有者に書面で督促する場合、内容証明郵便で行わなければ、「催告」に該当せず、時効の完成猶予の効力を生じない。H30-11-1
  2. [適切]。支払督促の流れは下記のようになっています。債務者には異議を申し立てる機会が2回あり、異議申立てがあったときは通常の訴訟手続きに移行します。
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  3. 不適切。調停は、裁判所において、当事者の話合いにより紛争の解決を図る手続をいいます。調停において当事者間に合意が成立し、これを調書に記載したときは、調停が成立したものとし、その記載は、裁判上の和解と同一の効力を有します(民調16条)。
    調停は専門家である調停委員の立会いの下で行われますが、調停委員の意見そのものに法的な強制力はありません。また、弁護士や許可を受けた者に依頼し、代理人として対応してもらうことも可能です。
  4. 不適切。少額訴訟は、訴額が60万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて利用できます(民訴368条1項)。請求を分割(一部請求)することもできるので、60万円以下に分けることで、少額訴訟を利用した回収が可能となります。
    簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
    少額訴訟によって訴えを提起する場合、その上限額は60万円である。R6-40-1
    Aが、同一の年に同一の簡易裁判所において、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる回数には制限がある。R6-40-3
    少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる回数は、同一人が、同一の簡易裁判所において、同一年に10回までである。R2-11-1
    Aが、同一の年に同一の簡易裁判所において、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる回数には制限がある。H29-10-3
    滞納額140万円の支払いを求める訴えを簡易裁判所に提起する場合には、民事訴訟法上の少額訴訟制度を利用することができる。H28-10-1
したがって適切な記述は[2]です。