管理業務主任者試験 令和2年試験 問32

問32

総会に出席することができる者に関する次の記述のうち、区分所有法及び標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 数人の共有に属する場合の住戸で、議決権を行使する者として選任され理事長に届け出た者以外の当該住戸の区分所有者
  2. 修繕積立金の値上げが議題になっている場合の賃借人
  3. 区分所有者から議決権行使の委任状を受け取った当該区分所有者の配偶者
  4. 共同利益背反行為により、賃借人に対する専有部分の引渡し請求訴訟が議題になっている場合の当該賃借人

正解 2

問題難易度
肢117.5%
肢274.2%
肢31.0%
肢47.3%

解説

  1. 適切。共有住戸では、議決権を行使する者1人を定める必要がありますが、これと総会の出席資格とは別の話です。議決権を行使しない区分所有者であっても組合員であることに変わりはないので、当然に総会に出席することができます(標管[単]45条1項)。
    組合員のほか、理事会が必要と認めた者は、総会に出席することができる。
  2. [不適切]。専有部分の占有者(賃借人など)は、会議の目的について利害関係を有する場合は、あらかじめ理事長に通知することで総会に出席し、意見を述べることができます(標管[単]45条2項)。本肢の「修繕積立金」は区分所有者に支払義務があり、賃借人は直接の利害関係を有するとは言えません。よって、この議題では出席できません。
    区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。
  3. 適切。区分所有者の①配偶者(内縁関係含む)・一親等親族、②同居親族、③他の組合員は、議決権行使の代理人となることができます(標管[単]46条5項)。明文で認められているため、区分所有者を代理する配偶者は総会に出席することができます。
    組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において、その代理人は、以下の各号に掲げる者でなければならない。
    一 その組合員の配偶者(婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は一親等の親族
    二 その組合員の住戸に同居する親族
    三 他の組合員
  4. 適切。専有部分の占有者(賃借人など)は、会議の目的について利害関係を有する場合は、あらかじめ理事長に通知することで総会に出席し、意見を述べることができます(標管[単]45条2項)。本肢の議題はまさにその賃借人の引渡しの可否に関わるため、利害関係を有することが明らかです。よって、出席することができます。
    【補足】
    占有者に対する引渡し請求を決議するには、占有者に対し、弁明の機会を与えなければなりませんが、この弁明は必ずしも総会の場で行うことは法律上要求されません。このため、弁明の機会の付与ではなく、利害関係の側面から出席可能という解説にしています。
    区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者は、会議の目的につき利害関係を有する場合には、総会に出席して意見を述べることができる。この場合において、総会に出席して意見を述べようとする者は、あらかじめ理事長にその旨を通知しなければならない。
したがって不適切な記述は[2]です。