管理業務主任者試験 令和2年試験 問31

問31

マンションの共用部分の工事における総会の決議要件に関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 各住戸の玄関扉の一斉交換工事には、出席組合員の議決権の過半数の賛成が必要である。
  2. マンションの耐震改修工事のために、1階の全ての柱下部を切断し、その箇所に免震部材を挿入する工事には、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要である。
  3. 下水道が完備されたため、不要となった浄化槽を撤去する工事には、組合員全員の合意が必要である。
  4. エントランスホールの一部を集会室に変更する工事には、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上の賛成が必要である。

正解 3

解説

  1. 適切。窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事は、普通決議により実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥ク)。したがって、出席組合員の議決権の過半数の賛成が必要です。
    窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  2. 適切。耐震改修工事は、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥イ)。本肢の工事は、基本構造部分への影響が大きいことが明らかなので、特別決議(各4分の3)が必要です。
    耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
  3. [不適切]。既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は、普通決議により実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥ク)。この考え方からすると、不要になった浄化槽を撤去する工事も、同じく普通決議により実施可能と言えます。また共用部分の管理にあたるので、少なくとも特別決議で実施可能です。したがって、全員合意を求める本肢は誤りです。
    窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  4. 適切。集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事で、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別決議の対象となります(標管[単]47条コ⑥ク)。エントランスホールの一部を集会場に変更する工事は、共用部分の大規模変更(形状・効用の著しい変更を伴うもの)に当たることが明らかなので、特別決議(各4分の3)が必要です。
    その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事(充電設備の設置工事等他の工事に伴って行われる場合も含む。)などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、・・・実施可能と考えられる。
したがって不適切な記述は[3]です。