管理業務主任者試験 令和2年試験 問12
問12
管理組合の会計等に関する次の記述のうち、標準管理規約の定めによれば、最も適切なものはどれか。- 管理組合は、通常の管理に要する経費の支払いに不足が生じた場合には、理事長は、理事会の決議を経て、業務を行うため必要な範囲内の借入れをすることができる。
- 管理組合は、収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は修繕積立金として積み立てなければならない。
- 管理組合は、管理費等に不足を生じた場合には、総会の決議により、組合員に対して共用部分の共有持分に応じて、その都度必要な金額の負担を求めることができる。
- 理事長は、毎会計年度の収支決算案について、やむを得ない場合には、通常総会での承認後に会計監査を受けることができる。
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正解 3
分野
科目:3 - 標準管理規約細目:5 - 会計・費用の分担
解説
- 不適切。資金の借入れを行うことができるのは、修繕積立金の使途である「特別な」管理事項を目的とする場合に限られます。また、資金の借入れは原則として総会の決議事項です(標管[単]48条10号)。規約に特別の定めがない限り、「通常の管理費」のための借入れはできません。
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
・・・
十 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し - 不適切。標準管理規約は『管理費の余剰は翌年度の管理費に充当する』と明文で定めています(標管[単]61条1項)。したがって、修繕積立金に繰り入れることはできません。
収支決算の結果、管理費に余剰を生じた場合には、その余剰は翌年度における管理費に充当する。
- [適切]。管理費等が不足した場合、管理組合は区分所有者に対して負担割合(共用部分の共有持分)に応じて、その都度必要な金額の負担を求めることができます(標管[単]61条2項)。管理費等の額、賦課徴収方法は総会の決議事項であるため、総会の決議を経る必要があります(標管[単]48条6号)。
管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して第25条第2項に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
・・・
六 管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法 - 不適切。収支決算案は、監事の会計監査を経て通常総会に報告し、承認を得なければならないと規定されています(標管[単]59条)。やむを得ない場合でも後回しにすることはできません。会計監査の意義は、決算の不正や誤謬を排除し、組合員が信頼できる情報に基づいて議決できることにあるため、承認後の監査では手続の公正性を欠きます。
理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。
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