管理業務主任者試験 令和2年試験 問10

問10

マンション甲の管理組合の理事長兼管理者Aが、甲の管理費を滞納する区分所有者Bに対して、滞納管理費の請求訴訟を提起する場合に関する次の記述のうち、民事訴訟法及び裁判所法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. Aは、裁判所に対して訴えを提起する前に、Bに対して内容証明郵便による催告を行うことが必要である。
  2. Bが行方不明である場合であっても、AがBに対して裁判所に訴えを提起することはできる。
  3. Bの滞納額が140万円を超えない場合は、Aは、簡易裁判所に対して訴えを提起することができる。
  4. Aが、裁判所に訴えを提起した場合に、Bが甲とは別の場所を生活の本拠としているときは、裁判所からのBへの訴状は、Bが生活の本拠としている住所に送達される。

正解 1

問題難易度
肢175.5%
肢20.7%
肢313.7%
肢410.1%

解説

  1. [誤り]。訴訟を提起するには、有効な訴状を裁判所に提出すれば足ります(民訴134条)。実務では、相手方に支払いを強く求めて早期の解決を目指すために、訴訟前に内容証明郵便が利用されることが一般的ですが、これは訴え提起の要件ではありません。
    訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。
    2 訴状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
    一 当事者及び法定代理人
    二 請求の趣旨及び原因
  2. 正しい。債務者が行方不明の場合でも、「公示送達」の方法によって訴えを提起することが可能です。公示送達とは、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、「いつでも受け取ることができる」旨を裁判所の掲示場に掲示することで、通常の送達に代える方法です(民訴111条)。
    通常、訴えを提起する際には、訴状に被告の住所を記載する必要があります。ただし、住所等が不明の場合には「住居所 不明」と記載し、公示送達の手続きで進めることが可能です(民訴110条1項)。
    公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
    次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
    一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
    二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
    三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
    四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
  3. 正しい。訴えを提起できる裁判所は、訴訟物の内容や金額により決まっています。金銭支払いの請求の場合、訴額が140万円以下であれば簡易裁判所、140万円超であれば地方裁判所が提起先となります(裁33条1項1号)。
    簡易裁判所は、次の事項について第一審の裁判権を有する。
    一 訴訟の目的の価額が百四十万円を超えない請求(行政事件訴訟に係る請求を除く。)
  4. 正しい。訴えの提起があると、裁判所から被告に対し、訴状が送達されます。送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所に行うとされているため、訴状はBの住所(生活の本拠)に送達されます(民訴103条1項)。
    送達は、送達を受けるべき者の住所、居所、営業所又は事務所(以下この節において「住所等」という。)においてする。ただし、法定代理人に対する送達は、本人の営業所又は事務所においてもすることができる。
したがって誤っている記述は[1]です。