管理業務主任者試験 令和元年試験 問36

問36

専有部分の用途に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 専有部分を居住用借家として使用することを可能とする場合においては、専有部分の用途を住宅専用である旨を規約に明記しておくだけでは足りない。
  2. 専有部分を住宅宿泊事業として使用することを禁止とする場合においては、専有部分の用途を住宅専用である旨を規約に明記しておくだけでは足りない。
  3. 専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、他の居住者の住宅としての使用を妨げる行為については、当該住宅宿泊事業を営む者は、共同の利益に反する義務違反者としての責任を免れない。
  4. 専有部分の用途として住宅宿泊事業を可能とする規約があったとしても、旅館業法に違反して行われる宿泊事業は認められない。

正解 1

解説

  1. [不適切]。標準管理規約では「専ら住宅として使用する」旨を定めています(標管[単]12条1項)。自己の居住用までは要求しておらず、また「その専有部分を第三者に貸与する場合」と専有部分の貸借を前提とした定めもあるため、追加の定めなしに居住用借家としての使用が可能です(標管[単]19条1項)。
    区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
    区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。
  2. 適切。住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を禁じたい場合、「住宅宿泊事業に使用してはならない」と明示する必要があります(標管[単]12条2項)。民泊営業の可否について記載がない場合は、禁止されていないと解釈される可能性があり、単に住宅専用と書くだけでは、禁止の趣旨は明確になりません。
  3. 適切。区分所有者は、建物の保存・管理・使用に関して、区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません(区6条1項)。専有部分の使用が共同の利益に反する行為である場合、義務違反として理事長の勧告・指示等の対象となります。
    区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。
  4. 適切。標準管理規約で認めることとされているのは、住宅宿泊事業法に基づいて行われる民泊です。旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、公法の規制により当然に禁止されます(標管[単]コ12条②)。
    旅館業法や住宅宿泊事業法に違反して行われる事業は、管理規約に明記するまでもなく、当然に禁止されているとの趣旨である。
したがって不適切な記述は[1]です。