管理業務主任者試験 令和元年試験 問33
問33
専有部分の修繕等に関する次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。- 区分所有者は、工事業者に依頼し、畳の交換や壁紙の張替えを行う場合においては、あらかじめ、理事長にその旨を届け出る必要がある。
- 理事長の承認を受けた工事であっても、当該工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響については、当該工事を発注した区分所有者は、その責任や負担を免れるわけではない。
- 理事長は、施工状況の確認のために立入り、調査を行った結果、申請又は届出を受けたものとは異なる内容の工事が行われていることが確認された場合においては、原状回復のための必要な措置等をとることができる。
- 理事長の承認を受けた工事であれば、総会の決議を経なくても、当該工事に必要な外壁の穿孔、躯体の一部撤去を行うことができる。
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正解 4
分野
科目:3 - 標準管理規約細目:2 - 用法・管理
解説
- 適切。区分所有者が専有部分の修繕等を行う場合、共用部分や他の専有部分に影響を与える可能性があるときは、あらかじめ理事長に申請し、書面で承認を得る必要があります。上記に該当しない修繕等であっても、工事業者の立入りや資機材搬入、工事中の騒音・振動・臭気等が懸念される場合は、あらかじめ届出が必要です(標管[単]17条1項・4項)。
影響が大きい工事の具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等があり、本肢の「畳の交換や壁紙の張替え」はこれに該当しません。しかし、工事業者が立入るため届出の対象となります(標管[単]コ17条②)。区分所有者は、その専有部分について、修繕、模様替え又は建物に定着する物件の取付け若しくは取替え(以下「修繕等」という。)であって共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのあるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長(第35条に定める理事長をいう。以下同じ。)にその旨を申請し、書面による承認を受けなければならない。
・・・
4 区分所有者は、第1項の承認を要しない修繕等のうち、工事業者の立入り、工事の資機材の搬入、工事の騒音、振動、臭気等工事の実施中における共用部分又は他の専有部分への影響について管理組合が事前に把握する必要があるものを行おうとするときは、あらかじめ、理事長にその旨を届け出なければならない。修繕等のうち、第1項の承認を必要とするものは、「共用部分又は他の専有部分に影響を与えるおそれのある」ものである。具体例としては、床のフローリング、ユニットバスの設置、主要構造部に直接取り付けるエアコンの設置、配管(配線)の枝管(枝線)の取付け・取替え、間取りの変更等がある。その範囲、承認を必要とする理由及び審査すべき点については、別添2に考え方を示している。
- 適切。理事長の承認後に行った修繕等であっても、共用部分などに影響が生じた場合、区分所有者はその責任を免れることはできません(標管[単]コ17条⑪)。影響を与えた区分所有者が、自らの責任と費用で必要な対応を行う必要があります(標管[単]17条6項)。
第6項は、第1項の承認が、修繕等の工事の結果、共用部分又は他の専有部分に生じた事後的な影響について、当該工事を発注した区分所有者の責任や負担を免責するものではないことを確認的に定める趣旨である。
第1項の承認を受けた修繕等の工事後に、当該工事により共用部分又は他の専有部分に影響が生じた場合は、当該工事を発注した区分所有者の責任と負担により必要な措置をとらなければならない。
- 適切。専有部分の修繕等について理事長の承認を得ないまま工事を実施した場合や、届出内容と異なる工事が判明した場合には、理事長は、是正のために必要な勧告・指示・警告ができるほか、規約違反等を理由として差止め・排除・原状回復措置を講ずることができます(標管[単]コ17条⑬)。
本条の承認を受けないで、専有部分の修繕等の工事を行った場合には、第67条の規定により、理事長は、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うか、その差止め、排除又は原状回復のための必要な措置等をとることができる。第5項の立入り、調査の結果、理事長に申請又は届出を行った内容と異なる内容の工事が行われている等の事実が確認された場合も、同様である。
- [不適切]。理事長の承認のみでは足りません。外壁の穿孔や躯体撤去など躯体そのものへの影響が大きい工事は、共用部分の重大変更に該当するため、総会の特別決議が必要です(区17条1項)。規約で別段の定めをすることができるのは軽微変更だけです(区18条1項)。
共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
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