管理業務主任者試験 平成30年試験 問36

問36

1棟の区分所有建物の復旧に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 建物の価格の2分の1以下に相当する部分が滅失した場合、規約に別段の定めがない限り、滅失した共用部分について、各区分所有者は、その復旧工事に着手するまでに、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議、建物の建替え決議又は団地内の建物の一括建替え決議があったときは、滅失した共用部分を復旧することができない。
  2. 建物の価格の2分の1を超える部分が滅失(以下、本問において「大規模滅失」という。)した場合、復旧の決議がされた後2週間を経過したときは、復旧の決議に賛成しなかった者(以下、本問において「決議非賛成者」という。)は、賛成者(以下、本問において「決議賛成者」という。)の全部又は一部に対して、その者が有する建物及び敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求(以下、本問において「買取請求」という。)することができる。
  3. 大規模滅失した場合、復旧の決議の日から2週間以内に、決議賛成者の全員の合意により買取指定者が指定され、決議非賛成者が、当該買取指定者から書面でその旨の通知を受け取ったときは、以後、決議非賛成者は、その買取指定者に対してのみ、買取請求を行うことができる。
  4. 買取指定者が、買取請求に基づく売買の代金に係る債務の弁済をしないときは、当該債務について、決議賛成者は、当該買取請求を行う者に対して、決議非賛成者を除いて算定した区分所有法第14条に定める割合に応じて弁済の責めに任じられる。

正解 4

解説

  1. 正しい。2分の1以下の滅失の場合、規約で別段の定めがない限り、各区分所有者が共用部分や自己の専有部分を復旧することができます。ただし、復旧の工事までに、集会で滅失した部分の復旧決議、建替え決議があった場合にはこの限りではありません(区61条1項)。
    建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分及び自己の専有部分を復旧することができる。ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項、次条第一項又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。
  2. 正しい。2分の1を超える滅失について復旧決議があった場合、復旧決議に参加しなかった者はその決議から2週間経過後、決議賛成者に対して区分所有権の買取りを請求できます(区61条7項)。
    第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。)以外の区分所有者は、決議賛成者の全部又は一部に対し、建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。
  3. 正しい。大規模滅失の復旧決議から2週間以内に買取指定者が定められ、かつ、その旨が決議賛成者以外の者に書面又は電磁的方法により通知された場合、買取りはその買取指定者に対してのみ請求できます(区61条8項)。
    第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。
  4. [誤り]。分割責任ではありません。買取指定者が買取り請求に係る売買代金を弁済しない場合、決議参加者は連帯してその債務の弁済の責任を負います(区61条10項)。連帯責任なので、全員が一つの債務について全額の責任を負います。もっとも弁済をした者は、他の区分所有者に対して求償することができます。
    買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下この項及び第十五項において同じ。)は、連帯してその債務の全部又は一部の弁済の責めに任ずる。ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。
したがって誤っている記述は[4]です。