管理業務主任者試験 平成30年試験 問34

問34

区分所有法第8条に規定される特定承継人の責任に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものの組合せはどれか。
  1. 債務者たる区分所有者の特定承継人とは、特定の原因により区分所有権を承継して実質的に区分所有関係に入る者をいい、単に当該区分所有権を転売する目的で取得した者は、特定承継人には該当しない。
  2. 区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  3. 区分所有者は、規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  4. マンションの外壁の剥落(はくらく)事故により負傷した第三者は、事故後に当該マンションの区分所有者となった特定承継人に対して、その損害の賠償を請求することができる。
  1. ア・イ
  2. ア・ウ
  3. ア・エ
  4. イ・エ

正解 3

解説

  1. 誤り。特定承継人とは、売買・贈与・相続など特定の原因により区分所有権を承継した者を意味し、取得の目的(自ら居住するか、転売目的か)によって区別されるものではありません。つまり、転売目的で区分所有権を取得した者も、特定承継人に該当します。
  2. 正しい。区分所有者が共用部分等に関して他の区分所有者に対して債権を有している場合、区分所有権の特定承継人にも履行を請求することができます(区8条)。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  3. 正しい。区分所有者が規約・集会の決議に基づいて他の区分所有者に対して債権を有している場合、区分所有権の特定承継人にも履行を請求することができます(区8条)。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  4. 誤り。特定承継人に対して行使できるのは、次の3つの債権に限られます。
    1. 建物の敷地・建物の附属施設(共用部分を除く)に関する債権
    2. 規約・集会の決議に基づく債権
    3. 管理者・管理組合法人の業務に関する債権
    本肢は上記に含まれません。この場合、民法の工作物責任の適用場面となりますが、工作物責任は事故発生時点の所有者・占有者が責任を負います。マンションの所有権が特定承継されても、これらの損害賠償責任は承継されません。よって、事故後に取得した特定承継人には損害賠償請求できません。
したがって誤っているものは「ア・エ」です。