管理業務主任者試験 平成30年試験 問29

問29

地震等の災害時に備えて管理組合が共用部分の工事を行う場合の次の記述のうち、区分所有法の規定及び標準管理規約によれば、集会(総会)の普通決議で行うことができないものはどれか。
  1. マンションの地下に設けられた駐輪場を、壁と扉を設置して、災害用の備蓄倉庫とすること
  2. エレベーター設備を、地震時には最寄りの階に停止して、扉が開く性能のものに更新すること
  3. 各住戸の玄関扉を、枠を含めて耐震(対震)性のあるものに更新すること
  4. マンションの敷地のブロック塀が地震時に倒壊しないよう、必要な箇所に控壁を設置すること

正解 1

解説

  1. [できる]。集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事で、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別決議の対象となります(標管[単]47条コ⑥ク)。駐輪場を備蓄倉庫に変更する工事は、共用部分の大規模変更(形状・効用の著しい変更を伴うもの)に当たることが明らかなので、特別決議(各4分の3)が必要です。
    その他、集会室、駐車場、駐輪場の増改築工事(充電設備の設置工事等他の工事に伴って行われる場合も含む。)などで、大規模なものや著しい加工を伴うものは特別多数決議により、・・・実施可能と考えられる。
  2. できない。計画修繕工事に関し、エレベーター設備を更新する工事は、普通決議で実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥キ)。新規設置は特別決議が必要ですが、既存設備の更新は普通決議で可能です。
    計画修繕工事に関し、鉄部塗装工事、外壁補修工事、屋上等防水工事、給水管更生・更新工事、照明設備、共聴設備、消防用設備、エレベーター設備の更新工事は普通決議で実施可能と考えられる。
  3. できない。窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事は、普通決議で実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥ク)。扉枠の交換だけであれば、基本構造部分への加工は小さいと考えられるため、普通決議で可能です。
    窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事、既に不要となったダストボックスや高置水槽等の撤去工事は普通決議により、実施可能と考えられる。
  4. できない。耐震改修工事は、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは、普通決議で実施可能とされています(標管[単]47条コ⑥イ)。ブロック塀に対する控壁の設置は、基礎構造部分への加工を通常伴わないため、普通決議で可能です。
    耐震改修工事に関し、柱やはりに炭素繊維シートや鉄板を巻き付けて補修する工事や、構造躯体に壁や筋かいなどの耐震部材を設置する工事で基本的構造部分への加工が小さいものは普通決議により実施可能と考えられる。
したがって普通決議で行うことができないものは[1]です。