管理業務主任者試験 平成30年試験 問11

問11

マンションの管理費の滞納に対する対策及び法的手続に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 管理組合が管理費を滞納している区分所有者に書面で督促する場合、内容証明郵便で行わなければ、「催告」に該当せず、時効の完成猶予の効力を生じない。
  2. 管理規約に管理費の遅延損害金の定めがない場合には、管理組合は、民法所定の法定利率による遅延損害金を請求することができない。
  3. 管理費を滞納している区分所有者が、自己破産の申立てを行い、破産手続開始の決定を受けた場合、管理組合は、先取特権の実行を除き、破産手続に参加しなければ、滞納管理費の回収をすることができない。
  4. 管理費を滞納している区分所有者が行方不明の場合は、管理組合は、その者に対して、滞納管理費の支払請求についての訴えを提起することはできない。

正解 3

問題難易度
肢12.3%
肢24.5%
肢389.4%
肢43.8%

解説

  1. 不適切。催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間、時効は完成しません(民150条1項)。催告の方式について特段の定めはないため、普通郵便や口頭であっても完成猶予の効力は生じます。実務上で内容証明郵便が用いられることが多いのは、法的証拠を確実に残すためです。
    催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
  2. 不適切。金銭の支払債務について不履行があった場合、法定利率と約定利率の高いほうで算定した損害賠償額を請求することができます(民419条1項)。遅延損害金の定めがないときでも、民法の規定に基づいて、法定利率による遅延損害金を請求することが可能です。
    金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
  3. [適切]。破産債権は、原則として、破産手続によらなければ行使することができません(破100条1項)。また、破産手続開始の決定があった場合、破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産(破産財団)に対する、強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行等が禁止されます(破42条1項)。ただし、区分所有法7条が定める先取特権は、特別の先取特権に該当し、破産法上の「別除権」となるため、破産手続によらず行使することが可能です(破65条1項)。
    破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
    破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行又は外国租税滞納処分で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
    別除権は、破産手続によらないで、行使することができる。
  4. 不適切。債務者が行方不明の場合でも、「公示送達」の方法によって訴えを提起することが可能です。公示送達とは、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、「いつでも受け取ることができる」旨を裁判所の掲示場に掲示することで、通常の送達に代える方法です(民訴111条)。
    通常、訴えを提起する際には、訴状に被告の住所を記載する必要があります。ただし、住所等が不明の場合には「住居所 不明」と記載し、公示送達の手続きで進めることが可能です(民訴110条1項)。
    公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。
    次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。
    一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
    二 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
    三 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
    四 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
したがって適切な記述は[3]です。