管理業務主任者試験 平成30年試験 問3(改題)
問3
債務不履行責任に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。- 損害賠償額が予定されている場合において、債務不履行の事実があったときは、債権者は、原則として、損害の発生及び損害額を証明することなく、予定された賠償額を請求することができる。
- 損害賠償額が予定されている場合において、債務不履行の事実があったとき、債権者は、実際の損害額が予定賠償額より大きいことを立証しても賠償額の増額を請求することができない。
- 債務不履行により通常生ずべき損害が生じた場合、債務者が、当該債務不履行時までにその損害が生じることを予見すべきあったときでなければ、債権者は、損害賠償を請求することができない。
- 金銭債務の債務者は、不可抗力により期日に金銭の支払をすることができなかったときであっても、その不履行によって生じた損害の賠償責任を免れない。
広告
正解 3
分野
科目:1 - 民法細目:3 - 債権・保証
解説
- 正しい。損害賠償額の予定を定めた場合、債権者は、債務不履行の事実さえ証明すれば、損害の有無や損害額を立証せずに、合意した損害賠償額を請求することができます(大判大11.7.26)。
本条は、債務不履行があるときは、損害の有無や多少を問わず、常に債権者に予定賠償額を得させる趣旨である。
- 正しい。損害賠償額の予定は、当事者が「いくらで清算するか」を事前に確定させる制度です。損害賠償額の予定を定めた場合、実際の損害額が予定額よりも大きくても、超過額は請求できないと解されています(通説)。
- [誤り]。債務不履行に関する損害賠償請求は、通常生ずる損害を賠償させることを目的とします。ただし、特別の損害であっても、当事者が予見すべきであったときは損害賠償の対象となります(民416条)。予見義務があるのは特別損害に関する損害賠償であり、通常損害については予見できたかどうかは問われません。
債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。 - 正しい。金銭支払債務の不履行については、①損害の発生や損害額の証明が不要、②債務者の不可抗力が免責事由とならない、という特則があります(民419条)。天災等の不可抗力により履行遅滞となった場合でも、これを抗弁とすることはできないため、債務者は損害賠償責任を免れません。
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
広告
広告