管理業務主任者試験 平成29年試験 問41(改題)

問41

買主Aと売主Bが、マンションの一住戸の売買契約を締結した場合におけるBの契約不適合責任に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。なお、AとBは、ともに宅地建物取引業者ではない個人とする。
  1. 別段の特約がない限り、種類又は品質に関する契約不適合責任に基づくAのBに対する通知は、Aが不適合の事実を知った時から1年以内にしなければならない。
  2. 「AはBに対して、不適合の修補請求はできるが、損害賠償請求はできない」旨の特約をすることはできない。
  3. 「BはAに対して、いかなる不適合についてもその責任を負わない」旨の特約があっても、Bが、売買契約締結時に当該不適合があることを知りながらAに告げなかった事実については、Bはその責任を免れることができない。
  4. Aが、売買契約締結時に目的物の不適合を知っていた場合であっても、Bは契約不適合責任を負うことがある。

正解 2

解説

  1. 正しい。買主が目的物の種類または品質について不適合を発見した場合、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります。期間内に通知しなかったときは、その不適合に関する追及権は消滅します(民566条)。
    売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
  2. [誤り]。個人同士の契約であれば、契約不適合責任を免除する特約を有効に定めることが可能です。したがって、損害賠償請求のみを排除する部分的な免責特約も認められます。
  3. 正しい。契約不適合責任について、全面的に免除する特約をした場合であっても、売主が不適合を知りながら買主に告げなかった事実については、その責任を免れることはできません(民572条)。この規定は強行法規であり、特約による変更は許されません。
    売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
  4. 正しい。契約不適合責任の存否は「契約内容に適合しているか否か」という客観基準で判断されます。買主が当初から不適合を認識していても、契約上は適合物を引き渡す義務があるため、売主は追完・代金減額・損害賠償等の責任を負う場合があります。
したがって誤っている記述は[2]です。