管理業務主任者試験 平成29年試験 問38
問38
管理組合法人に関する次の記述のうち、区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。- 管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるものとする。
- 管理組合法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り共用部分の持分の割合に応じて、その債務の弁済の責任を負う。
- 法人格を有していない管理組合が管理組合法人になった場合、管理者の職務のうち、不当利得による返還金の請求及び受領については、当該管理組合法人の代表理事が承継することになる。
- 管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
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正解 3
分野
科目:2 - 区分所有法等細目:3 - 管理者・管理組合法人
解説
- 正しい。管理組合法人の住所は、その主たる事務所の所在地にあるとされており、これは法人登記の基礎情報と一致します(区47条1項)。
第三条に規定する団体は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
- 正しい。管理組合法人は法人格を有しており権利義務の主体となれますから、通常は管理組合法人が負った債務については、その法人自身の財産から支払うことになります。しかし、管理組合法人は一般的に安定した財産基盤を有しているとは限らず、財産だけでは債務を弁済できない場合もあります。このため、管理組合法人の財産で債務を弁済できない場合、区分所有者は原則として、共用部分の持分割合に基づいて、その債務の弁済責任を負うとされています(区53条1項)。
管理組合法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、区分所有者は、第十四条に定める割合と同一の割合で、その債務の弁済の責めに任ずる。ただし、第二十九条第一項ただし書に規定する負担の割合が定められているときは、その割合による。
- [誤り]。代表理事ではありません。管理組合法人はその事務に関し区分所有者を代表します。法人化前に管理組合が有していた、損害保険金、損害賠償金、不当利得による返還金の請求・受領の権利は、管理組合法人に承継されます(区47条6項)。
管理組合法人は、その事務に関し、区分所有者を代理する。第十八条第四項(第二十一条において準用する場合を含む。)の規定による損害保険契約に基づく保険金額並びに共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領についても、同様とする。
- 正しい。管理組合法人に加えた代理権の制限は、善意の第三者に対抗することができないとされています(区47条7項)。この規定は、会社の代表取締役の代表権に加えられた内部的制限は、それを知らない第三者に対して効力を有しないとされる会社法の原則と同様の趣旨に基づくものです。
そのため、代理権をもたない理事が行った取引であっても、善意の第三者に対しては取引の効力を否定することはできません。管理組合法人の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
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