管理業務主任者試験 平成29年試験 問36

問36

専有部分と敷地利用権との分離処分等に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、規約に別段の定めがない限り、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。
  2. 敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合、規約の定めに違反した専有部分又は敷地利用権の分離処分については、当該処分の前に、不動産登記法の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記していたときは、当該規約の定めを知らなかった相手方に対して、その処分の無効を主張することができる。
  3. 敷地利用権が借地権であるマンションにおいて、区分所有者の一人が借地料を滞納し、当該区分所有者と土地所有者との借地契約が解除された場合には、その区分所有者の敷地利用権は消滅する。
  4. 敷地利用権を有しない専有部分の所有者があるときは、その者は、敷地の所有者に対して、それぞれの敷地利用権の持分の割合に応じて、敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。

正解 4

問題難易度
肢11.9%
肢220.3%
肢312.8%
肢465.0%

解説

  1. 正しい。敷地利用権が共有の場合、原則としてその専有部分と敷地利用権は不可分一体であり、分離処分が禁止されています。ただし、規約で別段の定めがある場合は除きます(区22条1項)。
    敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
  2. 正しい。規約により分離処分が制限されている場合でも、善意無過失の相手方に対してはその処分の無効を対抗することができません。ただし、分離処分が登記されていれば、無効を対抗することが可能です(区23条)。
    前条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定に違反する専有部分又は敷地利用権の処分については、その無効を善意の相手方に主張することができない。ただし、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)の定めるところにより分離して処分することができない専有部分及び敷地利用権であることを登記した後に、その処分がされたときは、この限りでない。
  3. 正しい。敷地利用権は、専有部分を所有するために必要な建物の敷地に関する権利です(区2条6項)。借地契約が解除された場合には、当該区分所有者は借地権を失うことになり、それに伴って敷地利用権も消滅します。この結果、当該区分所有者は「敷地利用権を有しない区分所有者」となり、借地権設定者から専有部分の売渡しを請求される可能性があります。
    この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
  4. [誤り]。逆の規定です。正しくは「敷地利用権を有しない区分所有者」に対し、敷地利用権を有する者等が、その区分所有権を時価で売り渡すよう請求する権利があります(区10条)。つまり、敷地利用権を有する側が請求する立場であって、本肢のように「敷地利用権を持たない者が請求できる」とするのは誤りです。
    敷地利用権を有しない区分所有者があるときは、その専有部分の収去を請求する権利を有する者は、その区分所有者に対し、区分所有権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。
したがって誤っている記述は[4]です。