管理業務主任者試験 平成29年試験 問11(改題)

問11

マンションの管理組合が区分所有者に対して有する管理費支払請求権の消滅時効の完成猶予及び更新に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 支払督促は、所定の期間内に仮執行の宣言の申立てをしないことによりその効力を失うときは、時効の更新の効力を生じない。
  2. 民事調停が調わないときは、6箇月以内に訴えを提起しなければ、時効の完成猶予の効力を生じない。
  3. 管理費を滞納している区分所有者が、滞納の事実を認める承認書を管理組合の管理者あてに提出したときは、管理費支払請求権の時効は更新される。
  4. 管理組合の管理者が死亡し、後任の管理者が決まらなかったとしても、管理費支払請求権の時効は更新されない。

正解 2

問題難易度
肢127.5%
肢251.2%
肢36.9%
肢414.4%

解説

  1. 正しい。支払督促を行うと時効の完成が猶予されます(民147条1項2号)。その後、仮執行宣言の申立てにより、仮執行宣言付きの支払督促の送達を受けた者が、2週間以内に異議申立てを行わなければ、その支払督促は確定判決と同一の効力を有します(民訴396条)。ここに至った場合は時効は更新(10年)されますが、仮執行宣言の申立てをしないなど手続きが途中で終了した場合には、時効は更新されません。
    仮執行の宣言を付した支払督促に対し督促異議の申立てがないとき、又は督促異議の申立てを却下する決定が確定したときは、支払督促は、確定判決と同一の効力を有する。
  2. [誤り]。民事調停の開始は、時効の完成猶予の事由です。そのため、民事調停が終了するまでは時効は完成しません。また、民事調停が調わなかった場合でも、その終了から6か月間は時効の完成が猶予されます(民147条1項3号)。訴えを提起する必要はありません。
    次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
    ・・・
    三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
  3. 正しい。時効は、権利の承認があったときは、その時から新たに進行を開始します(民152条1項)。承認の方式に特段の定めはなく、承認の意思表示が債権者に到達した時点で時効は更新されます。
    時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
  4. 正しい。管理費支払請求権は管理組合に帰属しており、管理者は管理組合を代理して請求や回収を行う立場です。代理人である管理者が死亡した場合、代理権は消滅しますが、これは時効の更新とは関係がありません(民147~152条)。
したがって誤っている記述は[2]です。