管理業務主任者試験 平成29年試験 問7(改題)

問7

次の記述のうち、標準管理委託契約書の定めによれば、最も不適切なものはどれか。
  1. マンション管理業者は、管理事務を行うため必要があるときは、管理組合の組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)に対して、その専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。
  2. マンション管理業者は、地震等の災害により、管理組合のために、緊急に行う必要がある業務で、管理組合の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、管理組合の承認を受けないで実施することができるが、この場合において、マンション管理業者は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及び実施に要した費用の額を管理組合に通知しなければならない。
  3. マンション管理業者は、火災等の事故(マンション管理業者の責めによらない場合に限る。)により管理組合又は管理組合の組合員等が受けた損害について、その損害額が一定額を超えるときは、その一定額を超える損害部分については、賠償する責任を負わない。
  4. マンション管理業者は、管理事務を行うため必要なときは、管理組合の組合員等に対し、管理組合に代わって、建物の保存に有害な行為の中止を求めることができるが、マンション管理業者が中止を求めても、なお管理組合の組合員等がその行為を中止しない場合において、マンション管理業者が、書面をもって管理組合にその内容を報告したときは、マンション管理業者はその責めを免れる。

正解 3

問題難易度
肢13.1%
肢222.5%
肢370.0%
肢44.4%

解説

  1. 適切。管理業者が業務のために専有部分等に立ち入る際は、組合員等に対して請求をすることが原則です。しかし、一定の災害又は事故等の事由により、管理組合のために緊急に業務を行う必要があるときは、請求なしに専有部分等に立ち入ることができます。この場合、管理業者は、管理組合及び専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに、報告をしなければなりません(標契14条)。
    乙は、管理事務を行うため必要があるときは、組合員等に対して、その専有部分又は専用使用部分(以下「専有部分等」という。)への立入りを請求することができる。
    2 前項の場合において、乙は、組合員等がその専有部分等への立入りを拒否したときは、その旨を甲に通知しなければならない。
    3 第1項の規定にかかわらず、乙は、第9条第1項各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために緊急に行う必要がある場合、専有部分等に立ち入ることができる。この場合において、乙は、甲及び乙が立ち入った専有部分等に係る組合員等に対し、事後速やかに、報告をしなければならない。
  2. 適切。管理業者は、災害や事故などの事由により、管理組合のために緊急に実施する必要があり、かつ事前に承認を受ける時間的余裕がない業務については、管理組合の承認を受けずに実施することができます。緊急時の業務を実施した際は、管理組合に対し、速やかに書面をもって実施した業務内容と費用の額を通知しなければなりません(標契9条1項)。
    乙は、第3条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる災害又は事故等の事由により、甲のために、緊急に行う必要がある業務で、甲の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、甲の承認を受けないで実施することができる。この場合において、乙は、速やかに、書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を甲に通知しなければならない。
    一 地震、台風、突風、集中豪雨、落雷、雪、噴火、ひょう、あられ等
    二 火災、漏水、破裂、爆発、物の飛来若しくは落下又は衝突、犯罪、孤立死(孤独死)等
  3. [不適切]。管理組合や組合員等が被った損害のうち、以下に起因するものについては管理業者は損害賠償責任を負いません(標契19条)。
    • 自然災害
    • 管理業者の責めによらない事故
    • 管理業者が善管注意義務をしたにもかかわらず生じた管理対象部分の異常・故障
    • 管理業者が書面で注意喚起したにもかかわらず、管理組合が承認しなかった事項
    • 管理業者の責めによらない事由
    上記のとおり、管理業者の責めによらない火災(事故)に起因する損害については、一定額を超える損害部分だけではなく、一切の損害賠償責任を負いません。
    乙は、甲又は組合員等が、第9条第1項各号に掲げる災害又は事故等(乙の責めによらない場合に限る。)による損害及び次の各号に掲げる損害を受けたときは、その損害を賠償する責任を負わないものとする。
    一 乙が善良な管理者の注意をもって管理事務を行ったにもかかわらず生じた管理対象部分の異常又は故障による損害
    二 乙が、書面をもって注意喚起したにもかかわらず、甲が承認しなかった事項に起因する損害
    三 前各号に定めるもののほか、乙の責めに帰することができない事由による損害
  4. 適切。管理業者は、管理事務を行うため必要がある場合には、管理組合の組合員等に対し、管理組合に代わって、建物の保存に有害な行為の中止を求めることができます(標契12条1項2号)。
    マンション管理においては、管理規約等に違反する行為があった場合、本来は管理組合が対応主体となります。しかし、標準管理委託契約書では、日常的な管理実務を円滑に行うため、管理業者に一定の対応権限を付与しています。
    乙は、管理事務を行うため必要なときは、甲の組合員及びその所有する専有部分の占有者(以下「組合員等」という。)に対し、甲に代わって、次の各号に掲げる行為の中止を求めることができる。
    ・・・
    二 建物の保存に有害な行為
したがって不適切な記述は[3]です。