管理業務主任者試験 平成28年試験 問38

問38

次の記述のうち、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(以下、本問において「占有者」という。)は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができるが、この占有者に区分所有者の同居の親族は含まれない。
  2. 会議の目的たる事項につき利害関係を有する占有者がいる場合には、集会を招集する者は、各区分所有者へ招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
  3. 専有部分の占有者が、区分所有法第6条第1項に規定する建物の保存に有害な行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、当該専有部分の区分所有者以外の区分所有者の全員又は管理組合法人は、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
  4. 区分所有法第60条に基づく、占有者に対する引渡し請求をする場合には、当該占有者が占有する専有部分の貸主である区分所有者と借主である占有者の双方に、あらかじめ集会で弁明する機会を与えなければならない。

正解 4

解説

  1. 正しい。集会に出席して意見を述べることができるのは、区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者に限られます。これは、一般に区分所有者の承諾を得て専有部分を独立して使用する者(例:賃借人や使用借人)を指し、区分所有者の同居の親族などは含まれません。同居親族も占有者に該当しますが、その占有は区分所有者の承諾の上に行われているわけではないためです。
  2. 正しい。会議の目的に利害関係を有する専有部分の占有者は、集会に出席して意見を述べることができます。上記の占有者に集会の開催情報を周知するために、各区分所有者への招集通知した後、遅滞なく、①集会の日時、②場所及び③会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示する義務があります(区44条2項)。
    前項に規定する場合には、集会を招集する者は、第三十五条の規定により招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
  3. 正しい。専有部分の占有者の共同の利益に反する行為をし、又はその行為をするおそれのある場合は、区分所有者全員または管理組合法人はその占有者に対して、行為の停止、行為の結果の除去、行為の予防措置をとるよう請求することができます(区57条1項)。
    区分所有者が第六条第一項に規定する行為をした場合又はその行為をするおそれがある場合には、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、区分所有者の共同の利益のため、その行為を停止し、その行為の結果を除去し、又はその行為を予防するため必要な措置を執ることを請求することができる。
  4. [誤り]。区分所有者には弁明の機会を与える必要はありません。
    占有者に対する引渡し請求を決議するには、あらかじめ、当該占有者に対し、弁明の機会を与えなければなりません(区60条2項)。しかし、貸主である区分所有者に対する弁明機会の付与は義務ではありません(最判昭62.7.17)。
    第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
    建物の区分所有等に関する法律六〇条一項に基づき、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起する前提として、集会の決議をするには、あらかじめ当該占有者に対して弁明の機会を与えれば足り、当該専有部分の区分所有者に対して弁明の機会を与えることを要しない。
したがって誤っている記述は[4]です。