管理業務主任者試験 平成28年試験 問37
問37
管理者でない区分所有者Aが、単独で行使できる裁判上の請求に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法によれば、請求が認められないものの組合せはどれか。ただし、規約又は集会の決議による請求権者や請求方法についての定めはないものとする。- 区分所有者Bが、自らが所有する住戸の共用廊下側の窓を改造して出入口を作っていたところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、共用部分の共有持分権に基づく保存行為として、同改造部分の原状回復を請求すること
- マンション管理業者がずさんな管理を続けているところ、管理者が黙認し、放置状態にあるので、管理委託契約の準共有持分権に基づく保存行為として、当該管理業者との契約の解除を請求すること
- 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるので、管理者の解任を請求すること
- 区分所有者Cが、自ら専有部分を暴力団事務所として利用し、他の方法によってはその障害を除去することが困難であるため、当該専有部分の競売を請求すること
- ア・イ
- ア・ウ
- イ・エ
- ウ・エ
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正解 3
分野
科目:2 - 区分所有法等細目:2 - 区分所有者の権利義務
解説
- 認められる。共用部分の保存行為は、各区分所有者が単独で行うことができます(区18条1項)。出入口の改造が共用部分に影響を及ぼすものですから、共有持分権に基づき、保存行為として原状回復を請求することが可能です。
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
- 認められない。管理業者との契約の締結や解除は管理行為です。保存行為であれば各共有者が単独で行えますが、管理行為を行うには原則として集会の決議を要するため、区分所有者が単独で行うことはできません(区18条1項)。
共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
- 認められる。管理者の解任は、各区分所有者が裁判所に対して請求することが可能です(区25条2項)。この請求は区分所有者が単独で行うことができ、集会の決議も必要ありません。
管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。
- 認められない。他の区分所有者に対して専有部分の競売を請求するには、集会の特別決議が必要であり、個々の区分所有者が単独で請求することはできません(区59条1項)。
第五十七条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。
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