管理業務主任者試験 平成28年試験 問34
問34
マンションの専有部分及び専用使用権に関する次の記述のうち、区分所有法、標準管理規約及び判例によれば、最も不適切なものはどれか。
- 専有部分とは、一棟の建物に構造上区分され、かつ、住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に独立して供することができるように利用上区分された、区分所有権の目的である建物の部分である。
- 地下に設けられた駐車場部分は、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていなくても、構造上、利用上の独立性を備えている場合には、専有部分として登記して分譲することができる。
- 専用使用権とは、敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利であり、専用使用権の対象となっている当該部分を専用使用部分という。
- 敷地に、特定の区分所有者に対して無償の駐車場専用使用権が規約に基づいて設けられていた場合、後に、当該駐車場部分の使用を有償化する決議をするには、必ず当該専用使用権者の承諾を得なければならない。
広告
正解 4
問題難易度
肢13.5%
肢213.4%
肢35.6%
肢477.5%
肢213.4%
肢35.6%
肢477.5%
分野
科目:2 - 区分所有法等細目:2 - 区分所有者の権利義務
解説
- 適切。区分所有法では、専有部分を「一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができる、区分所有権の目的たる建物の部分」と定義しています(区1条区2条3項)。
一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
- 適切。区分所有の目的となるためには、構造上の独立性と利用上の独立性が要求されます。このうち構造上の独立性は「完全に四方を遮蔽していること」を要さず、物的支配に適する程度、外部と遮断されていれば足ります。判例上も、地下駐車場であって構造上の独立性があり専有部分として認められたケースもあります(最判昭56.6.18)。
建物の区分所有等に関する法律一条にいう構造上他の部分と区分された建物部分とは、建物の構成部分である隔壁、階層等により独立した物的支配に適する程度に他の部分と遮断され、その範囲が明確であることをもつて足り、必ずしも周囲すべてが完全に遮蔽されていることを要しないものと解するのが相当である。
- 適切。標準管理規約においては、専用使用権とは共用部分の一部を特定の区分所有者が排他的に使用できる権利であり、その対象部分を専用使用部分と呼びます。記述は規約の定義どおりです(標管[単]2条8号・9号)。
八 専用使用権 敷地及び共用部分等の一部について、特定の区分所有者が排他的に使用できる権利をいう。
九 専用使用部分 専用使用権の対象となっている敷地及び共用部分等の部分をいう。 - [不適切]。規約の変更や集会の決議が「特別の影響を及ぼすとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいいます。使用料増額の必要性と合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められるときは、「特別の影響」を及ぼすものではないと判示されています(最判平10.10.30)。したがって、集会の決議をするのに専用使用権者の承諾が絶対的に必要というわけではありません。
「特別の影響を及ぼすべきとき」とは、規約の設定、変更等の必要性及び合理性とこれによって一部の区分所有者が受ける不利益とを比較衡量し、当該区分所有関係の実態に照らして、その不利益が区分所有者の受忍すべき限度を超えると認められる場合をいうものと解される。これを使用料の増額についていえば、使用料の増額は一般的に専用使用権に不利益を及ぼすものであるが、増額の必要性及び合理性が認められ、かつ、増額された使用料が当該区分所有関係において社会通念上相当な額であると認められる場合には、専用使用権者は使用料の増額を受忍すべきであり、使用料の増額に関する規約の設定、変更等は専用使用権者の権利に「特別の影響」を及ぼすものではないというべきである。
広告
広告