管理業務主任者試験 平成28年試験 問29

問29

専用使用部分の損傷等に関する次の記述のうち、標準管理規約によれば、最も不適切なものはどれか。
  1. 区分所有者の不注意により損傷した窓ガラスを、区分所有者の希望により、窓枠等の変更を必要としない範囲で、強度の高いものに取り換える場合には、理事会の承認を得たうえ、区分所有者がその責任と負担で行う。
  2. 通常の使用に伴い損傷した網戸の補修は、区分所有者がその責任と負担で行う。
  3. 第三者による犯罪行為により損傷した面格子の補修をする場合には、管理組合がその責任と負担で行う。
  4. 専有部分の賃借人の不注意により損傷した玄関扉の補修については、賃貸人である区分所有者はその責任と負担を負わない。

正解 4

解説

  1. 適切。窓ガラスを高性能のものに取り替える工事は「保存+改良行為」に当たります。共用部分の改良工事は原則としては管理組合が行いますが、理事会から書面で承認を受けることにより、区分所有者が自らの責任と負担で実施することができます。(標管[単]22条2項)。
    区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。
  2. 適切。網戸・雨戸は、窓枠・窓ガラスと同じく共用部分として扱われます。窓枠・窓ガラス等の専用使用権を有する共用部分の保存行為のうち「通常の使用に伴うもの」については、各区分所有者が自らの責任と負担で行います(標管[単]21条1項)。
    敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為(区分所有法第18条第1項ただし書の「保存行為」をいう。以下同じ。)のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。
  3. 適切。面格子は窓枠と同じく共用部分です。破損が第三者の犯罪行為等による場合は「通常の使用に伴うもの」ではないため、管理組合の責任と負担で補修(保存行為)を行います(標管[単]21条コ⑥)。
    バルコニー等の破損が第三者による犯罪行為等によることが明らかである場合の保存行為の実施については、通常の使用に伴わないものであるため、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。
  4. [不適切]。玄関扉は錠と内部塗装を除く部分が共用部分です。破損が同居人や賃借人等による場合は「通常の使用に伴うもの」として、区分所有者の責任と負担で補修(保存行為)を行います(標管[単]21条コ⑥)。
    同居人や賃借人等による破損については、「通常の使用に伴う」ものとして、当該バルコニー等の専用使用権を有する者がその責任と負担において保存行為を行うものとする。
したがって不適切な記述は[4]です。