管理業務主任者試験 平成28年試験 問12
問12
建物の建替えに係る経費及び修繕積立金に関する次の記述のうち、標準管理規約(単棟型)によれば、最も不適切なものはどれか。- 建替え決議の前に、建物の建替えに係る合意形成に必要となる事項の調査に要する経費に充当するために修繕積立金を取り崩すには、総会の決議を経なければならない。
- 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当するため、一括して購入者より修繕積立基金を徴収している場合には、当該金銭についても修繕積立金として区分経理すべきである。
- 建替え決議の後であっても、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、総会の決議を経て修繕積立金を取り崩すことができる場合がある。
- 建替えに係る調査に必要な経費の支出は、マンションの実態にかかわらず、管理費から支出する旨を管理規約に規定することはできない。
広告
正解 4
分野
科目:3 - 標準管理規約細目:5 - 会計・費用の分担
解説
標準管理規約では、管理費と修繕積立金の使途を次のように区分しています(標管[単]27条・28条)。
- 適切。建替え等(建物建替え・敷地売却)に係る合意形成に必要な事項の調査に要する経費は、修繕積立金の使途に含まれます(標管[単]28条1項4号)。修繕積立金の取崩しには、総会の決議が必要です(標管[単]48条10号)。
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。
・・・
四 建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
・・・
十 第28条第1項に定める特別の管理の実施並びにそれに充てるための資金の借入れ及び修繕積立金の取崩し - 適切。分譲時において将来の計画修繕のために購入者から一括徴収される「修繕積立基金」や、修繕積立金の不足を補うために区分所有者から徴収される「一時負担金」についても、修繕積立金として積み立て、区分経理する必要があります(標管[単]28条②)。
分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。
- 適切。建替え等の決議後、その建替え等組合の認可までの間に、計画・設計等に必要がある場合は、建替え等不参加者等に係る修繕積立金相当額を除いた額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができます(標管[単]28条3項)。通常の修繕積立金の取崩しと同じく、支出には総会の決議が必要です(標管[単]48条15号)。
前項にかかわらず、区分所有法第62条第1項の建替え決議(以下「建替え決議」という。)又は建替えに関する区分所有者全員の合意の後であっても、マンションの建替え等の円滑化に関する法律(平成14年法律第78号。以下「円滑化法」という。)第9条のマンション建替組合の設立の認可又は円滑化法第45条のマンション建替事業の認可までの間において、建物の建替えに係る計画又は設計等に必要がある場合には、その経費に充当するため、管理組合は、修繕積立金から管理組合の消滅時に建替え不参加者に帰属する修繕積立金相当額を除いた金額を限度として、修繕積立金を取り崩すことができる。
次の各号に掲げる事項については、総会の決議を経なければならない。
・・・
十五 第28条第2項及び第3項に定める建替え等に係る計画又は設計等の経費のための修繕積立金の取崩し - [不適切]。建替えに係る調査に必要な経費の支出は、基本的には修繕積立金を充当すべきものですが、マンションの実態に応じて、管理費から支出する規約を定めることが認められています(標管[単]コ28条⑧)。
建替え等に係る調査に必要な経費の支出は、各マンションの実態に応じて、管理費から支出する旨管理規約に規定することもできる。
広告
広告