管理業務主任者試験 平成28年試験 問11(改題)

問11

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。
  2. 規約に管理費に関する遅延損害金を定める場合は、民法所定の法定利率を超えて定めることはできない。
  3. 管理費を滞納している区分所有者が、裁判所に民事再生手続開始の申立てをした場合、当該区分所有者はその申立てにより滞納管理費の支払義務を免れる。
  4. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を贈与した場合、受贈者が滞納管理費の支払義務を負い、当該区分所有者はその義務を免れる。

正解 1

問題難易度
肢184.7%
肢29.7%
肢31.6%
肢44.0%

解説

  1. [適切]。管理費その他の区分所有者が他の区分所有者に対して有する債権は、債務者である区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます(区8条)。特定承継人とは、売買・贈与・競売などによって特定の財産を引き継いだ人で、典型例は買主です。滞納を知らなかったとしても免責されないため、特定承継人である買主は、滞納管理費を支払う義務があります。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
    管理費が滞納されているマンションの住戸を購入した買主は、購入時点で前区分所有者の滞納の事実及びその額について知らなかった場合には、管理組合に対して当該滞納債務の支払義務を負わない。R6-39-2
    専有部分の売買契約によって、滞納されていた管理費の支払義務は区分所有権を取得した買主に承継されるが、売主自身の支払義務が消滅するわけではない。R5-39-3
    競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。R5-39-4
    管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は、売主の滞納管理費債務を承継するが、当該債務に係る遅延損害金の債務は承継しない。R4-11-2
    滞納者が、所有している専有部分を売却し、区分所有者でなくなった場合、その専有部分の買受人である区分所有者が滞納管理費債務を承継し、当該滞納者は滞納管理費債務を免れる。R3-11-1
    競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。R1-10-1
    管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を贈与した場合、受贈者が滞納管理費の支払義務を負い、当該区分所有者はその義務を免れる。H28-11-4
  2. 不適切。金銭の支払債務について不履行があった場合、法定利率と約定利率の高いほうで算定した損害賠償額を請求することができます(民419条1項)。標準管理規約がそうであるように、規約に法定利率を超える利率を定めることは可能であり、定めた場合にはその利率が優先して適用されます。
    金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
    管理組合は、管理費が滞納されている場合、管理規約に遅延損害金の定めがないときでも、遅延損害金を請求することができる。R5-39-1
    管理規約に管理費について遅延損害金の定めがない場合でも、民法に定める法定利率によって遅延損害金を請求することができる。R3-11-4
    管理規約に管理費の遅延損害金の定めがない場合には、管理組合は、民法所定の法定利率による遅延損害金を請求することができない。H30-11-2
  3. 不適切。民事再生手続によって債務が免除又は減額されるのは、再生手続開始の決定後、債権届出のための公告期間、再生計画案の作成と提出、債権者集会での再生計画案の決議、さらには裁判所の認可決定が必要です(民事再生法178条1項)。申立てを行っただけでは支払義務は免除されません。
    【補足】民事再生手続とは、経済的に困難な債務者(法人・個人)が作成した再建計画について、債権者の多数の同意と裁判所の認可を得て、その計画に従って返済することで、残りの債務の免除を受け、裁判所の管理下で事業や生活の再建を図る仕組みです。
    再生計画認可の決定が確定したときは、再生計画の定め又はこの法律の規定によって認められた権利を除き、再生債務者は、すべての再生債権について、その責任を免れる。ただし、再生手続開始前の罰金等については、この限りでない。
  4. 不適切。管理費その他の区分所有者が他の区分所有者に対して有する債権は、債務者である区分所有者の特定承継人に対して行うことができます(区8条)。
    条文から分かるように、本来の債務者たる当該区分所有者に加えて、特定承継人に対して重畳的な債務引受人としての義務を法定したものであり、前所有者の支払債務が新所有者に移転するわけではありません。両者の債務は併存し、いわゆる不真正連帯債務の関係になります(東京高判平17.3.30)。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
    債務者たる当該区分所有者の債務とその特定承継人の債務とは不真正連帯債務の関係にあるものと解される
    管理費が滞納されているマンションの住戸を購入した買主は、購入時点で前区分所有者の滞納の事実及びその額について知らなかった場合には、管理組合に対して当該滞納債務の支払義務を負わない。R6-39-2
    専有部分の売買契約によって、滞納されていた管理費の支払義務は区分所有権を取得した買主に承継されるが、売主自身の支払義務が消滅するわけではない。R5-39-3
    競売手続によってマンションの区分所有権を取得した場合には、買受人は、前区分所有者の滞納管理費の支払義務を承継しない。R5-39-4
    管理費を滞納している区分所有者からその区分所有するマンションを購入した買主は、売主の滞納管理費債務を承継するが、当該債務に係る遅延損害金の債務は承継しない。R4-11-2
    滞納者が、所有している専有部分を売却し、区分所有者でなくなった場合、その専有部分の買受人である区分所有者が滞納管理費債務を承継し、当該滞納者は滞納管理費債務を免れる。R3-11-1
    競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。R1-10-1
    管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。H28-11-1
したがって適切な記述は[1]です。