管理業務主任者試験 平成28年試験 問10(改題)
問10
マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
- 滞納額140万円の支払いを求める訴えを簡易裁判所に提起する場合には、民事訴訟法上の少額訴訟制度を利用することができる。
- 滞納者に対して、普通郵便による督促をした場合、その後6箇月以内に裁判上の請求をすれば、その裁判手続きが終了するまでの間は、管理費債権の消滅時効は完成しない。
- 専有部分について賃貸借契約がなされた場合、管理組合は滞納管理費について、規約に別段の定めがなくても、貸主である区分所有者又は賃借人である占有者のいずれに対しても訴えを提起することができる。
- 滞納者に対して、訴えを提起したところ、「必ず払います。」との誓約書を提出したため、終局判決の前に訴えを取り下げた場合は、その後、支払いがなされなかったときでも再び訴えを提起することはできない。
正解 2
問題難易度
肢111.5%
肢269.3%
肢312.8%
肢46.4%
肢269.3%
肢312.8%
肢46.4%
分野
科目:5 - 管理実務細目:1 - 滞納対策
解説
- 誤り。少額訴訟を利用できるのは、60万円以下の金銭の支払請求を目的とする場合に限られます(民訴368条1項)。訴額が140万円の場合、少額訴訟は選択できず、通常訴訟を利用することになります。
簡易裁判所においては、訴訟の目的の価額が六十万円以下の金銭の支払の請求を目的とする訴えについて、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。ただし、同一の簡易裁判所において同一の年に最高裁判所規則で定める回数を超えてこれを求めることができない。
- [正しい]。滞納者に対して普通郵便で督促を行うことは「催告」にあたり、その時から6か月を経過するまでは時効は完成しません(民150条)。催告により時効の完成が猶予されるのは、最初の催告から6か月間に限られますが、その期間中に裁判上の請求や支払督促などを行えば、その事由が終了するまで完成猶予の状態を継続することができます(民147条1項)。
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
二 支払督促
三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停
四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加 - 誤り。区分所有建物の特定承継人については、前所有者が滞納した管理費等の債務について支払義務を負います。しかし、賃借人などの占有者にはそのような義務はありません。あくまでも法律上の支払義務は区分所有者にあります(区19条)。このため、規約に特段の定めがなければ、賃借人に対して滞納管理費の支払いを請求することはできません。
各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。
- 誤り。訴えを取り下げた場合、訴訟は終了し、最初に遡って訴訟が継続していなかったものとみなされます。終局判決があった後に取り下げた場合、同一の訴えをすることは禁止されますが、本肢のように終局判決の前であれば、再び訴えを提起することができます(民訴262条)。
訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
2 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。