管理業務主任者試験 平成28年試験 問3(改題)

問3

消滅時効に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. 売主の詐欺によりマンションの一住戸の売買契約が締結された場合、買主の意思表示の取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、また意思表示の時から20年を経過したときは消滅する。
  2. 管理組合の組合員に対する管理費支払請求権は、滞納の時から10年間行使しないときは消滅する。
  3. 管理組合から請け負った工事に関する施工業者の報酬請求権は、請求できることを知った時から5年、又は工事に着手した時から10年間行使しないときは消滅する。
  4. 第三者の不法行為により管理組合に損害(人の生命又は身体を害するものではない)が生じた場合、管理組合の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき、また不法行為の時から20年を経過したときは消滅する。

正解 3

解説

  1. 正しい。取消権は、追認することができる時から5年、または行為の時から20年行使しないときは時効により消滅します(民126条)。よって、記述は適切です。
    取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
  2. 正しい。債権は、権利を行使することができることを知った時から5年、権利行使可能となった時から10年の消滅時効に服します(民166条)。よって、権利行使が可能な時点(滞納時)から10年経過すれば消滅します。
    債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
    一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
    二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
  3. [誤り]。工事に着手した時ではありません。消滅時効の客観的起算点は「権利を行使することができる時」です。請負工事の報酬請求権の場合、報酬の支払時期は仕事の完成時であるため、工事が完成した時が起算点となります(民633条民624条1項)。
    報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
    労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。
  4. 正しい。不法行為による損害賠償請求権は、被害者が損害と加害者を知った時から3年、または不法行為時から20年行使しないときは時効により消滅します(民724条1号)。
    不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
    一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
    二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
したがって誤っている記述は[3]です。