管理業務主任者試験 平成27年試験 問38

問38

区分所有者間に生じる債権に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。
  1. 区分所有者は、規約又は集会の決議により他の区分所有者に対して有する債権について、その債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。
  2. 区分所有者は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、その債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。
  3. 区分所有者が、規約又は集会の決議により他の区分所有者に対して有する債権について、その債務者の区分所有権の上に有する先取特権は、規約又は集会の決議で承継する旨を定めた場合にのみ、特定承継人にもその効力が及ぶ。
  4. 区分所有者が、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権の上に有する先取特権は、その順位と効力については、共益費用の先取特権として扱われる。

正解 3

解説

  1. 正しい。区分所有者は、集会の決議や規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権および建物に備え付けた動産の上に先取特権を有します(区7条1項)。例えば、規約で決められた管理費や修繕積立金などに対する未払い債権が対象となります。
  2. 正しい。区分所有者は、共用部分、建物の敷地又は共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権および建物に備え付けた動産の上に先取特権を有します(区7条1項)。これは共有財産の利用に伴う費用負担を確保するための規定です。
  3. [誤り]。区分所有者の先取特権は、民法の規定と異なり、当然に債務者の特定承継人に対しても及ぶものとされています(区8条)。規約や集会の決議は不要です。
    前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。
  4. 正しい。区分所有者の先取特権は、順位効力について「共益費用の先取特権」とみなされます。目的物に関しては、債務者の区分所有権および建物に備え付けた動産に限定されます(区7条2項)。
    前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
したがって誤っている記述は[3]です。