管理業務主任者試験 平成27年試験 問3(改題)
問3
マンションの管理組合法人A(以下、本問において「A」という。)が、区分所有者B(以下、本問において「B」という。)に対する管理費債権(以下、本問において「本件被保全債権」という。)を保全するため、Bの債務者C(以下、本問において「C」という。)に対する金銭債権(以下、本問において「本件代位債権」という。)を代位行使する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。- AがCに対して、本件代位債権を代位行使する場合、本件被保全債権の範囲で行使することができる。
- 本件代位債権が国民年金受給権である場合、Aはそれを代位行使することはできない。
- Aが、本件被保全債権の弁済期が到来しない間は、本件代位債権の消滅時効の完成を猶予させるために、本件代位債権を行使することはできない。
- AがCに対して、本件代位債権を代位行使する場合、Bへ支払うように請求することもできるし、直接Aへ支払うように請求することもできる。
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正解 3
分野
科目:1 - 民法細目:3 - 債権・保証
解説
- 正しい。被代位権利が可分の場合、債権者は自らの債権額の範囲でしか代位行使できません(民423条の2)。BがCに対して有する権利は金銭債権であり可分のため、Aが行使できるのは自己の債権額に制限されます。
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、被代位権利を行使することができる。
- 正しい。公的年金の受給権は、徴税目的を除き、差押えが禁止されています(国年法24条)。①一身専属的な権利、②差押えが禁止された権利は、債権者代位権の対象から除外されているため、Aは代位行使できません(民423条1項)。
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。
債権者は、自己の債権を保全するため必要があるときは、債務者に属する権利(以下「被代位権利」という。)を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利及び差押えを禁じられた権利は、この限りでない。
- [誤り]。被代位権利の行使は、その履行期が到来しなければできませんが、保存行為はその前でもできます(民423条2項)。消滅時効の完成を妨げることは保存行為に該当するため、代位行使により催告や裁判上の請求が可能です。
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、被代位権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。
- 正しい。被代位権利が「金銭の支払い」または「動産の引渡し」を目的とする場合は、債権者は第三債務者に対し、直接引き渡すよう請求できます(民423条の3)。BがCに対して有する権利は金銭債権なので、債権者Aは第三債務者Cに対し、直接の支払いを求めることができます。また、Bへの支払いを求めることも当然にできます。
債権者は、被代位権利を行使する場合において、被代位権利が金銭の支払又は動産の引渡しを目的とするものであるときは、相手方に対し、その支払又は引渡しを自己に対してすることを求めることができる。この場合において、相手方が債権者に対してその支払又は引渡しをしたときは、被代位権利は、これによって消滅する。
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