管理業務主任者試験 平成27年試験 問2
問2
区分所有者A(以下、本問において「A」という。)が、マンションの管理組合法人B(以下、本問において「B」という。)に対して管理費等を滞納している場合に関する次の記述のうち、民法及び区分所有法の規定によれば、誤っているものはどれか。- Bは、Aに対する管理費等債権について、Aの区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有するが、その回収に当たっては、まず建物に備え付けた動産から弁済を受けなければならない。
- AがCから借りて一時的に建物に備え付けていた動産について、BがCのものと知らず、かつ知らないことに過失がなかったときは、Bは当該動産の上に先取特権を取得する。
- Aが自ら建物に備え付けた動産をDに譲渡し、Dがその引渡しを受けた場合、Bは、その動産については、先取特権を行使することはできない。
- Aの区分所有権に、Eからの借入れのために抵当権が設定され、すでに登記も具備されていた場合でも、Bは、先取特権の登記がなくても、Eに優先して弁済を受けることができる。
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正解 4
分野
科目:1 - 民法細目:2 - 物権・時効
解説
- 正しい。管理費等債権についての先取特権は、区分所有権と備付動産の双方に及びます。この先取特権は順位と効力について「一般の先取特権(共益費用)」としてみなされます(区7条1項・2項)。一般の先取特権では、まず不動産以外の財産から弁済を受けることとされているため、最初に備付動産から弁済を受ける必要があります(民335条)。
区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。
2 前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
- 正しい。管理費等の先取特権には即時取得の規定が適用されます(区7条3項)。したがって、備付動産が第三者所有であることについて善意無過失だった場合には、管理組合法人はその動産について先取特権を取得します(民319条)。
民法第三百十九条の規定は、第一項の先取特権に準用する。
第百九十二条から第百九十五条までの規定は、第三百十二条から前条までの規定による先取特権について準用する。
- 正しい。先取特権の目的動産が第三取得者に引き渡された後は、先取特権を行使できません(民333条)。Dが引渡しを受けている以上、管理組合法人は当該動産に対して担保権を主張できません。
先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
- [誤り]。管理費等債権についての先取特権は「一般の先取特権(共益費用)」として扱われます(区7条2項)。登記を備えていない一般の先取特権は、一般債権者には対抗できますが、登記をした第三者には対抗できません。抵当権者Eは登記を具備しているため、管理組合法人が優先弁済を受けることはできません(民336条)。
前項の先取特権は、優先権の順位及び効力については、共益費用の先取特権とみなす。
一般の先取特権は、不動産について登記をしなくても、特別担保を有しない債権者に対抗することができる。ただし、登記をした第三者に対しては、この限りでない。
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