管理業務主任者試験 令和2年試験 問1

問1

土地甲を所有するAが死亡した場合に、甲の相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aには配偶者B、子C、直系尊属の父Dのみがいるものとする。
  1. AとCは同乗する飛行機の墜落事故で死亡したが、AとCのどちらが先に死亡したか明らかでない場合は、Dの相続分は2分の1である。
  2. Aが死亡した後に、Cが交通事故で死亡した場合には、Bのみが甲を相続する。なお、Cには配偶者及び直系卑属はいないものとする。
  3. Aが死亡する前に、Cが交通事故で死亡していた場合には、Bの相続分は2分の1である。
  4. BとCが法定相続分に従い甲を共同相続したが、その後、Cが甲の共有持分を放棄した場合には、その持分は国庫に帰属する。

正解 2

解説

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  1. 誤り。数人が死亡しその先後が不明なときは、同時に死亡したものと推定されます(民32条の2)。Aの相続についてCは存在しない者として取り扱われるため、Aの相続についての相続人は配偶者Bと直系尊属Dとなります。配偶者と直系尊属が相続人となる場合、相続分は配偶者Bが3分の2、父Dが3分の1です(民900条1項2号)。また、子Cに財産があれば、それは全て配偶者Bが相続します。
    数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
    配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
  2. [正しい]。Aの相続、Cの相続の順で考えます。Aの相続では、配偶者Bと子Cが各2分の1を相続します。その後Cが無配偶者・無直系卑属で死亡すると、Cの親であるBが直系尊属として単独でCの持分を承継します。その結果、甲はBの単独所有となります。
  3. 誤り。Cが先に死亡していた場合、Aの相続人は配偶者Bと父Dになります。配偶者と直系尊属が相続人の場合、配偶者Bの相続分は3分の2です(民900条1項2号)。
    配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
  4. 誤り。国庫に帰属ではありません。共有者が自分の持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属します(民255条)。BとCの共同相続なので、Cが共同持分を放棄した場合、その持分はBに帰属します。結果として甲はBの単独所有となります。
    共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
したがって正しい記述は[2]です。