管理業務主任者試験 令和元年試験 問1

問1

相続に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
  1. 未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続を放棄した場合において、当該未成年者及びその法定代理人は、制限行為能力を理由に、相続の放棄の意思表示を取り消すことができない。
  2. 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
  3. 相続の放棄は、相続の開始があった時から3箇月以内にしなければならない。
  4. 被相続人Aの子Bが相続の放棄をした場合において、Bの子CがAの直系卑属であるときは、CがBを代襲する。

正解 2

解説

  1. 誤り。相続の放棄をした場合、撤回はできないのが原則です。しかし、制限行為能力者や瑕疵ある意思表示など一般的な取消し原因がある場合には、追認できる時から6カ月、または放棄の時から10年以内であれば取り消すことができます(民919条1項・2項)。したがって、法定代理人の同意を得ずに放棄をした未成年者は、その放棄を取り消すことができます。
    相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
    2 前項の規定は、第一編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
  2. [正しい]。限定承認をするには、相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述する必要があります(民923条)。
    【参考】
    限定承認とは、積極財産(プラスの財産)の範囲内で、消極財産(マイナスの財産)を相続するものです。
    相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
  3. 誤り。相続開始時からではありません。相続の放棄をできる期間は、原則として相続開始があったことを知った時から3カ月以内です(民915条1項)。
    相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
  4. 誤り。代襲相続が認められるのは、本来の相続人が死亡・欠格・廃除により相続権を失った場合です(民887条2項)。放棄した者は、初めから相続人でなかったものとみなされるため代襲相続は発生しません。
    被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
したがって正しい記述は[2]です。