管理業務主任者試験 平成30年試験 問1
問1
委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。- 委任とは、当事者の一方が相手方のために法律行為をすることを約し、相手方がこれに対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる契約である。
- 受任者が、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者は、現に利益を受けている限度において受任者に対して費用の償還義務を負う。
- 委任契約が解除された場合に、解除の効力は将来に向かってのみ生じる。
- 受任者が、委任者に引き渡すべき金額を自己のために消費した場合でも、委任者に損害が生じていないときは、受任者は、利息を支払う義務を負わない。
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正解 3
分野
科目:1 - 民法細目:4 - 契約
解説
- 誤り。委任は原則として無償契約です(民648条1項)。委任は「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」契約であり、報酬の支払は要件ではありません(民643条)。
受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができない。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。
- 誤り。受任者が委任事務を処理するための必要費を支出した場合、委任者は、その全額に支出日以後の利息を付けて償還しなければなりません。受けた利益の有無・範囲では制限されません(民650条1項)。
受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
- [正しい]。委任の解除の効力については、賃貸借の解除効力を定める規定が準用され、将来に向かってのみ生じます(民620条民652条)。委任のほか、一定期間にわたり契約関係が生じる「雇用」「組合」も同様の規律があります。
賃貸借の解除をした場合には、その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。
第六百二十条の規定は、委任について準用する。
- 誤り。受任者が委任者に引き渡すべき金銭を自己のために消費したときは、消費日以後の利息を支払う義務があります。さらに、損害があれば賠償責任まで負います(民647条)。利息の支払いは損害の有無にかかわらず必要です。
受任者は、委任者に引き渡すべき金額又はその利益のために用いるべき金額を自己のために消費したときは、その消費した日以後の利息を支払わなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。
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