管理業務主任者試験 平成29年試験 問1

問1

A、B及びCは、マンションの一住戸を共有しており、その持分は、Aが3分の2、BとCがそれぞれ6分の1である。この場合に関する次の記述のうち、民法、区分所有法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
  1. Aは、BとCの同意を得なくても、当該住戸について、単独で抵当権を設定できる。
  2. Cが当該住戸を単独で占有している場合に、AとBは、Cの持分が少ないからといって、Cに対して明渡しを請求できるとは限らない。
  3. Bが、自らの専有部分の共有持分を放棄したときは、その共有持分は、共用部分及び敷地のBの共有持分とともに、AとCにそれぞれの持分に応じて帰属する。
  4. Cは、当該住戸を不法占拠する第三者に対し、単独で、その明渡しを請求することができる。

正解 1

解説

  1. [誤り]。抵当権の設定は共有物そのものに対する変更・処分行為に当たり、共有者全員の同意が必要です(民251条1項)。よって、Aが単独で設定することはできません。
    各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
  2. 正しい。各共有者は、持分の大小にかかわらず共有物全部を使用できる権利を有しています(民249条1項)。したがって、Cが少数持分者であっても当然に明渡しを請求できるわけではありません(最判昭41.5.19)。
    各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
    共有物の持分の価格が過半数をこえる者は、共有物を単独で占有する他の共有者に対し、当然には、その占有する共有物の明渡を請求することができない。
  3. 正しい。共有者が持分を放棄すると、その持分は他の共有者に持分割合に応じて帰属します(民255条1項)。共用部分および敷地の持分は、専有部分の処分に従いますから、Bが有していた共用部分と敷地の共有持分も同時にAとCに帰属します(区15条1項)。
    共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
    共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
  4. 正しい。共有物に対する保存行為は、各共有者が単独で行えます(民252条5項)。不法占拠者への明渡請求は保存行為に該当するため、C単独で請求可能です。
    各共有者は、前各項の規定にかかわらず、保存行為をすることができる。
したがって誤っている記述は[1]です。